†Sky heart†

□〜第三章〜
2ページ/12ページ



すると、アンジールはトレーニングルームで止まった。


「ジェネシスは、この中だ。」


そう一言言うと、アンジールは中に入って行ったので、続けて高鳴る胸を抑えながら中に入る。


「………!!」


そこには、茶色の髪を少し揺らし、顔は伏せがちだが端正な顔立ちであることはわかった。
そして、赤いコートに身を包む姿は見とれてしまうほどだ。

手には『LOVELESS』と書かれている本があった。


すると彼は口を開いた。


「獣たちの戦いが世に終わりをもたらす時
冥き空より、女神が舞い降りる
 光と闇の翼を広げ至福へと導く『贈り物』と共に……」 


そう言うと、スッと本から顔を上げ少し怪訝な表情を見せた。


空はすでにジェネシスの魅力に引き込まれていた。
そして、さっきの言葉…何処かで、聞いたことがあった。



「アンジール…誰だ」


先ほどの撫でるような声ではなく、少し重みを帯びている。


「コイツが、空だ。」


するとジェネシスが鼻で笑った。

そして、ゆっくりとこちらへ歩み寄って来る。


空の心臓は激しく乱れていた。
それは、自分でもわからない。何故なのか…



「お前が…あの、セフィロスを虜にしている女か……」


ジェネシスとの距離は少しで、手が届くところまで来ていた。
するとジェネシスが腕を伸ばし、空の頬に手を添えた。


「………いい女だ。だが、足りないな…」


ゆっくりと撫でられ、
空は息も出来ないくらいに鼓動が乱れていく。心が激しく揺れ動くのが感じる。


横にいるアンジールは
それを黙って見詰めていた。


「フッ、声も出せないのか…?」


ジェネシスの囁くような声で、さらに何かが落とされた感覚に陥った。


(………力が、入らない……)



「…仕方ないな、なら……」



意識が朦朧とする中、
確かに覚えている…
ジェネシスの唇が触れる感覚だった。
ただ唇と唇が重なっただけ、なのに…気づけば
涙を流していた。
何故か、わからない。
けど、頭の中にあの人がいたんだ。


「セフィロス……さん」

無意識にそう口に出していた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ