空と雲と、君がいる場所。
□音。
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*2010.04.24 up*
今日も眠りに落ちる。
それは、とても静かな場所。
いつもここに居た気がする。
呼ばれても気付かない。
きっと居心地がよかった。
いろんなモノを見た。
いろんなモノを感じた。
いろんなモノが見えた。
いろんなモノに気付かされた。
『自分』という自覚もないままに。
ただ、いろんな感情に出会い。
何にも変えられない愛情を見つけた。
そこには何があっただろう。
何が見えただろうか。
何を感じただろう。
愛を見つけた君は、そこで愛情を知ったね。
でも、本当に愛を知ったのだろうか。
薄れることはない。
薄れることはなかった。
ただ、君自身が薄れることに、とても哀しみを抱いた。
記憶の断片を辿ると。
やがて、いろんな場所にたどり着く。
それはきっと、あなたの記憶へとつながるだろう。
今日もあなたのどこかへとつながって。
深い眠りから覚めていく。
初めて聴く音は、静かな自分の鼓動。
そして、微笑む。
あなたが言った言葉。
『おはよう』
君は気付く。
今日も、あなたは居た。
そして、ここに君が居る。
君は、安心したように微笑む。
『おはよう』
そして、君のように、いつかあなたのそんな声が聞けるのかな。
最初に気付いたのが。
あなたという、遠く懐かしい響きだったように。
いつまでも、その響きを奏でていてほしい。
今日も、あなたと居る。
それはごく自然に、当たり前のように。
『どこまでも、つながるね。君は今、何してる?』
私は知ってるよ。
あなたは、そこに居るね。
だから、君も居たんだ。
もう迷うことはないよ。
すべてはあなたの記憶へ。
君の記憶へ。
だから、私は先を見つめる。
あなたにつなげる君を、私は導いていくんだ。
そして、気付く。
あなたにつなげる君の背中を押しているのは、だれ?
きっと答えられないだろう。
でも、私は知っているから。
安心して、今日も眠っていてね。
いつか、あなたは目覚めるだろうから。
その時は、あなたの声を聞かせて。
それまで、私はずっと言い続けるよ。
『あなたはちゃんと居るよ。だから、安心して今日も眠ってね。』
君は微笑む。
あなたも微笑む。
君は眠る。
君の中のあなたは眠る。
やがて、深い眠りにつく頃、あなたの声が聞こえたような気がした。
『おやすみなさい』
そして、またいつものように朝はやってくるんだろうね。
あなたは、また目を覚ます。
私はいつものように声をかけるよ。
『おはよう。あなたはそこに居る?』
笑顔のあなたは答えた。
『おはよう。私はいつも通りここに居るよ。』――――
*2010.04.24 up*