過去拍手小説

□依存関係
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 依存関係。はたまた肉体関係と言った方がいいのか。私にとって“あのクズ”がなくてはならない存在になってしまった。

「グレル・サトクリフ」

 入社当時は同期としてお互い同じ位だったが、今では立場が変わり私は管理課に、あのクズは派遣員として働く。

 同期でもあり、上司と部下でもある私とあのクズが、まさか男同士で“こんな関係”になるとは神でさえ思いもよらなかっただろう。

「……アタシがいるのに行為の最中に考え事?なんだか妬けちゃうワ」

「……っ、あっ……」

 ベッドの上では互いの裸が触れ合う。私の内股からどくどくと白濁りの精液が垂れ流れ、あまりの膨大な量に私は堪えていた声を漏らしてしまった。その声がグレル・サトクリフに聞こえてしまったのか、微かな微笑を浮かべて私の視界に細長い指を見せてくる。

「舐める?」

「結構です」

 自分の精液を好き好んで舐めるほど悪趣味ではない、そういった意味も込めて言ってやった。

「そう」

 短い言葉を返す相手はガッカリするわけでもなく、気分を害することもなく、ただそれっきり何も喋らない。

 時間が過ぎれば過ぎるほど刻々と流れる沈黙。私はそんな無駄な沈黙が嫌いだ。

「グレル・サトクリフ」

 重たい沈黙を打ち破ったのは私だ。堪えきれず、とうとう声を出してしまう。

「アタシが欲しいの?」

 そう言いながら相手はベッドに仰向けになる私の太股を横に広げる。ただ、私はなすがままにそれを受け入れるだけだ。

「明日の仕事が辛くなるわヨ?」

「構わない」

「定時に上がれなくて残業になっちゃうかも」

「それはいつものことです」

「アタシ、明日は遅刻しちゃうかもしれないわヨ?」

「グレル・サトクリフ!」

 なかなか先へ進まず、いてもたってもいられず私は大声を上げてしまう。

「………」

「……っ、すまない」

 顔を背け、部下が仕事の不始末などを起こした際にしか言わない謝罪の言葉を相手に告げる。

「気にしなくていいワ。ちょっと驚いただけだから」

 相手は何事もなかったかのように平然とした表情を浮かべ、大きく脈だつモノを私の後孔へ挿入させた。

「……っ、うっ」

 数時間前までは何度も逝かされ続け、身体はすっかりその行為に慣れているはずだった。

「あっ、はぁ……くっ!あ、あっ……っ!」

 なのに私は繰り返される刺激によって性欲や性感などが誘発されてしまい、快楽に身を委ね、淫らな声を上げてしまう。

「もう三回目よ?まだ物足りなかったのネ」

 生理的に浮かんだ涙により目が潤む。どんな表情を相手が浮かべているかなどわからない。乱れた呼吸を何度も繰り返す私は、握り締めていたシーツを両手から離し、相手の元へと差し出した。

「ウィル?」

 今ならわかる。驚きの表情をグレル・サトクリフは浮かべているだろうと。

「……っ、早く、来て……私を、抱き締めなさ、い……」

 貴方の体温と温もりをこの手と肌で感じたい。

 愛してる、大好き、貴方の愛の囁き声がもっと聞きたい。

 私の傍から離れずに、ずっとずっと傍にいとほしい。

「ほら、また考え事。アタシのことなら別に構わないけど、目の前にアタシがいる時はこっちに集中しなきゃダメよ?」

 考え事は全てお見通しのようだ。クスクスと笑う相手はそう言って私の身体を抱き締めてくれた。

 ああ、私はすっかり貴方に依存してしまったようだ。

 もうすぐ夜も更け朝になる。

 私の意識が薄れゆくまで、この行為はいつまでも終わらないだろう。


end.

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