小説
□命令だ!今すぐセバスチャンを泣かせてこい!
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ゲームが開始されたのは数日後だ。
シエルが考えたゲームを辞退する者は誰もいなかった。参加者全員がゲームの内容に満足していたからだ。
誰がいようがお前は絶対に書斎には入って来るな。お前は“いつも通り”仕事をしていろ。
シエルが事前にセバスチャンへ言い付けた命令の言葉だ。主の命令は逆らえない。絶対に。
書斎には物珍しい来客が訪れていた。
「我が勝てば阿片の活動場所を拡大してくれる……本当かい?伯爵」
「ああ、もちろんだ。お前が勝てればな」
「ヒッヒッヒッ……小生が勝ったら、小生特性の棺に入ってくれるのかぃ?伯爵〜」
「ああ、入ってやる。ついでに棺の中で一夜を明かしてやってもいいぞ?」
「あぁん!!今度こそ、セバスちゃんと舌入りキッス一一一ガッ!?」
「黙りなさい、グレル・サトクリフ。……今後一切、我々の管轄であるロンドン地区にて仕事の邪魔をしない。いいですね?」
「ああ、舌入りもそれ以上も……お前たちに迷惑がかからないよう、おとなしくしてやろう」
劉、葬儀屋、デスサイズで脳天を直撃され気を失うグレルとウィリアム。彼等の要望に快く頷くシエルは断ることなく承諾をした。その人混みを掻き分け、爛々と瞳を輝かせたソーマが身を乗り出す。
「なんだかよくわからんが、俺と毎日遊んでくれるのか!?シエルは俺のことを兄貴と呼んでくれるのか?」
「ああ、呼んでやるさ。お前が僕に飽きるまで、トランプでもチェスでもなんでもしてやる。だから……」
シエルは椅子から立ち上がり、周囲に佇む彼等を見渡すと。
「命令だ!今すぐセバスチャンを泣かせてこい!」
「「「「御意!ご主人様!」」」」
こうしてセバスチャンを泣かす、というシエルの暇潰しゲームが始まった。
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