小説
□愛は惜しみなく奪うもの
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好き、好き、大好き。愛してる。
この手で抱き締めたい。
温もりを感じたい。
アタシ以外のヒトと話さないで。
アナタはずっとずっとアタシだけを見ていればいいの。
一一一だからかしら?
ア ナ タ の す べ て を 奪 い た く な っ て し ま う の一一一。
我が儘?欲深い?ノンノン、違うワ。
だって、愛は惜しみなく奪うモノでしょ?
「一一一と、いうわけだから♪」
「何をどうすればそうなるのですか?グレル・サトクリフ」
最高に不機嫌なアナタの顔。
氷のような冷たいアナタの眼差し。
ああっ!ずっとずっとウィリアムはアタシを見つめ続けてくれる!アタシはなんて幸せ者なのかしら?ゾクゾクするワ!
「今すぐ離れなさい!今なら軽い処分で済ませて上げます」
あら?せっかくのチャンスをみすみす逃すと思ってるのかしら?ンフッ。アタシがそういうオンナに見える?
手放さないんだから。
ウィリアムはアタシだけのモノ。たっぷりとたっぷりと愛情を注いで上げるの。
「……グレル・サトクリフ。聞いているのですか?」
「ごめんなさい。アタシ、もう限界なの」
定時を過ぎ、残業を終えた派遣員はもう帰宅してる。ここにいるのはアタシとウィリアムだけ。疲れてうたた寝をしている隙に、抑えられない気持ちをアタシは爆発させてしまったの。
「グレ一一一っ!?」
アナタの寝惚けた顔はとても素敵だったワ。首筋にアタシのデスサイズを向けた時のアナタの驚き顔は今でも覚えてるもの。
デスサイズなら、首を跳ねてしまえばいくら不死身の死神でも死んでしまうことくらいわかってる。首筋から流れるアナタの血を、アタシは下から上へと舐めて上げた。
「アナタのすべてが欲しいの」
アタシはウィルの耳たぶを嘗めあげ、首筋にデスサイズをあてながらポケットから手錠を取り出してウィルの視界にチラつかせる。
「手、出して?首を跳ねられたくないでショ?」
デスサイズのスイッチを入れるアタシが本気である姿を見せれば、おとなしくウィルは手を差し出してきた。
「イイコね?」
素直なアナタも好きよ。そう呟いて頬にキスをしたら、アナタはまた嫌な顔をした。不機嫌な表情を浮かべるアナタの両手を、肘掛け椅子に置いて手錠で固定をする。足も固定した方がいいわよネ?アナタの足は長いから、アタシの綺麗な顔を蹴られたくないもの。これで安心してデスサイズを置けるワ。
「っ!」
「痛む?ごめんなさい。アタシ、こういう道具を使うのは初めてなの」
少しキツすぎたかしら?表情を歪めるアナタの頬を撫でた。
*end*
(2012/04/30)
あとがきあり。