小説
□アナタ(貴方)と私(アタシ)を繋ぐ赤
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しかし、グレルの予想とは裏腹に、何か重たい物が身体に乗しかかった。
「……な、なに?」
ゆっくりと瞳を開けるグレルの視線の先では一一一。
「……すー……すー……」
「……へ?」
グレルの身体の上で眠るウィリアムがいた。
一一一ね、寝惚けてる?
試しにウィリアムの頬を突っつく。と、微かに反応を示した。
「……ん……」
グレルの身体を抱きしめ、微かな呻き声とともにウィリアムは眠り続ける。
まるでグレルを枕と勘違いしているのか、ぎゅっと抱きしめるウィリアムは心地よい寝息をたてていた。
一一一か、可愛い。
しかし、そう思うのもつかの間の一時。近くに置かれた時計を見て、すぐにその余韻から覚める。
「ウ、ウィリアム!?ちょっと!起きなさいヨ!アタシのお昼休憩がなくなっちゃう……んもうっ!知らない!」
いくら頬をつねっても全くの無反応。引き離そうとしても抱きつかれているため、その場から離れることが出来ないグレルはとうとう諦めの溜め息を吐いた。
「……アタシのお昼が……お化粧だって直したいのに……」
「……すー……すー……んっ」
ぎゅっとグレルを抱きしめ、胸元に顔を埋めるウィリアムの吐息。何だかくすぐったく感じてしまうグレルはウィリアムの顔をそっと覗き込んだ。
一一一だいぶ疲れてるのネ。
なんとか動かすことができた片手でウィリアムの頭を優しく撫でるグレルはそっと手を離すと今度は自分からウィリアムを抱き締めた。
一一一ウィリアムはアタシのモノ……だから、ずっと傍にいてネ?
そっと耳元で囁くグレルは自分の髪を引き抜く一一一。
「でーきた♪ンフッ。アタシもお昼寝しちゃいまショ」
満足に笑みを浮かべたグレルはウィリアムの額にキスをすると眠りについた。
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