小説
□死神の休日、退屈な休日、不機嫌な休日、幸せな休日
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家を飛び出したグレルは行くあてもなく、街中を歩くしかなかった。
「……はぁ。アタシったら、何やってんのかしら?」
盛大な溜め息を漏らすグレルは壁に背中をつけ、懐から手帳を取り出す。
「……せっかく今日のデートスケジュールを考えてきたのに」
しゅんっ、として再び街中を歩き、周囲の建物を視界に入れる度にグレルは溜め息を漏らした。
「……ウィルとショッピングに行きたかったワ。その後はカフェでお昼ご飯を食べて、その後は……」
一歩一歩、歩くごとにウィリアムのことがすっかり恋しくなり、とうとうグレルは足を止めてしまう。
「……ウィリアム……」
再び止まってしまったグレルはまた歩き出す。
行き先はグレルの足が知っている一一一。
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