ショートストーリー
□人間観察
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「うちなんちゅー精神」
嫁と仕事探しのため上京して早いもので一年経つ
ようやく定職にもつけてなかなか上手くやっている
でもふるさとの沖縄と違って東京はとても忙しい街だ。それにすれ違う人みんな、どこ生気がない。
なんか切なくなる…自分もいつかそうなるのだろうか…
月日は流れうちにも子どもが出来た。
仕事もどんどん増えた。
…ただ、そのぶん帰るのも遅くなってきた。
食事も適当にすますようになってた
おれはきっと生気を失いかけてたんだろうな。
ある晩、嫁は言う
「あんたは仕事をするためにご飯食べてるの?」
「違うでしょ?ご飯を食べるために仕事をするんでしょ?」
「だからご飯はちゃんと食べなきゃいけないよ」
たしかに…たしかにその通りだ。沖縄でよくおばあが言ってた。どんなつらくたってご飯は食べなさい。と
おれはうちなんちゅー精神をすっかりどこかに置き忘れていた。
嫁はそれを教えてくれたのだ。
つくづく思う。のんびり屋でたまに腹立つけどこいつと結婚してよかったな〜って。