染まらない華
□風の向こう側
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抜ける様な…そんな空を見上げ、流れる風を見ていた。
想い描くイメージと重ね合わせながら…。
それを掴み取るように、空へと手を伸ばす。
そして、自分の元へ引き寄せる様に…。
風の向こう側
あまりにも気持ちの良い晴天で…。
カズは思うままに、6時限目の自習を抜け出した。
屋上へ向かう階段を冷たいジュース片手に、軽い足取りで昇っていく。
いつの間にか、たまり場となってしまった屋上。
そこは気がつけばお気に入りの場所で…。
一人の時でも、必然とそこにいる事が多くなった。
何をするわけでもないが、ただそこにいるだけで気持ちが良い。
今日もまた、それを感じたくて屋上へと向かう。
階段を昇りきると、カズは少し重い屋上の扉を開けた。