染まらない華
□Sweet Japanese whiting
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−Sweet Japanese whiting−
偶然コートで会ってから、お互いの利害が一致した為、何度か練習の約束をした。
良く晴れた日の午後。
その日も、会う約束をしていた日だった。
一通り練習を終え、一旦休憩を入れる事になりベンチに腰掛けた。
流れる汗も引いた頃、切り出したのはリョーマの方だった。
「ねえ、鳳さんってバレンタインって日に生まれたんでしょ?乾先輩に聞いた」
クイクイと鳳の服を引きながら、リョーマは隣の鳳を見上げつつ聞く。
大きな瞳で首を傾げ見上げ仕草は、まるで子猫の様で微笑ましい。
鳳はそんなリョーマに、フワリと柔らかな笑みを浮かべた。
「そうだよ。越前君はクリスマスの日に生まれたんだろ?」
「…お互い厄介な日に生まれたよね」
切り返し問い掛けると、リョーマは不機嫌そうに顔を歪めた。
そして寂しそうに、フゥ…とリョーマは深い溜息をつく。