染まらない華
□桜の舞い散る日
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桜の舞い散る日
気持ちのいい午後だった。
温かな春の日差しと、心地の良い風が吹き抜ける。
新学期が始まり、新な予感に心躍らされる日々。
「先輩…、いいんスか?…行かなくて」
コートに向かう途中の茂み…、その人目のつかないその場所に不二はゆったりと横になっていた。
そして、それを見つけた海堂がなにげに声を掛けた。
「君こそ、遅刻なんじゃない?」
くすくすといつもの…綺麗な笑みをたたえたまま、海堂に問い掛けた。
「……」
無言のままに…。
溜息を付くように独特の息を吐き出し、横になっている不二の隣に腰を下ろす。