染まらない華
□Sweet Japanese whiting
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どうやら、リョーマは誕生日にあまり良い思い出がないらしい。
自ずと予想が付く。
鳳の場合はバレンタインはついでだが、リョーマの場合は逆。
恐らく誕生日の方が、ついでに扱われていたのだろう。
ふと、リョーマの含みのある言葉に、鳳は疑問を抱いた。
リョーマは何と言った?
「もしかして、越前君バレンタインって知らない?」
「知らない。何それって言ったら変な顔された。てか、意味わかんないし…」
何処か投げやりに、リョーマは淡々と語る。
そんなリョーマを見つめながら、鳳はレギュラーの誰かが、リョーマが帰国子女だと言っていたのを思い出した。
そして、一人納得する。
リョーマがバレンタインを知らなくても、何ら不思議ではない。
鳳は後で食べようと、鞄に入れていたチョコレートを取り出した。
それをそっと、リョーマの右手を取り乗せる。
「…チョコ?」
リョーマは不思議そうに首を傾げ、手の中のチョコを見つめた。