稲妻11短編

□このまま貴女と神隠し
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自分で言うのもあれだけど、尾刈斗中の中でもサッカー部は異質だと思う。
でも私は尾刈斗中でも普通だ。(多分)ドリンク作りながらそう考えてた。
考えながらも手は動かしてたからすぐ終わった。出来たからタオルと一緒に持って行こう。結構多いからさっさと運ばないと休憩時間に間に合わない。それにしてもみんな頑張ってるね。いつもいつも大変だなあ。

「みなさん!休憩ですよ!」
「「「はい!!」」」
『みんなお疲れ様ー!置いておくから自分で取ってねー!』

ベンチに全部おいてあるから自分のは自分で取って貰う。めんどくさいし。今の内に部誌を書いておく。
やってる最中に書いた方がいい。するといきなり暗くなった。顔を上げると武羅渡先輩がいた。

武「もう書いてるんだな。てっきり帰りに部室で書いてるイメージがあった。」
『いつもはそうするんですけど、早く帰りたくて。』
武「そうなのか。」

武羅渡先輩は分かる気がする、と言って笑った。今日は少し肌寒いけど半袖のみんなは寒くないのかな?
休憩時間も終わり、練習再開だ。ちらりと時計を見る。あと一時間で帰れる。

八「さっきの怨霊は失敗だったね」
三「分かってる。だから次は失敗しない。」
月「まあまあ二人とも喧嘩するなよ」

みんなを見てると異質なイメージ崩れると思う。みんな見た目だけで判断しすぎなんだよ。幽谷君はなかなか優しいし、武羅渡先輩もいい人だし。
みんな優しい人達だと思う。よし、部誌も書き終わったしすることは最後の後片付けだけ。あー何か眠くなってきた。
いやいや寝たらダメでしょ。みんなが頑張ってるのに。それでも眠気には勝てなかった。私はそのまま意識を手放した。



起きてみると妙な浮遊感。触れている暖かな誰かを見ると、幽谷君だった。
君は何してるんだい?俗に言うお姫様抱っこですか。てか重くない?君の細腕じゃ無理じゃない?
つーか恥ずかしいから降ろしてくれないかな?頭の中で言葉をぐるぐる巡らせていると、幽谷君が、

幽「おや、お目覚めですか?」
『私は何でお姫様抱っこされてるの?』
幽「ああ、そんなことですか。簡単ですよ。
  もう下校時刻過ぎてるのに起きない貴女を家に送ってあげようとしているわけです」
『え。もうそんな時間?』
幽「ええ。そんな時間です。あ、ちゃんと部誌は出しましたし荷物も持ってますよ。
  あとは、片付けは皆さんでやりましたから。明日お礼言っておいてくださいね。」
『あ、ありがとう。でさ、』
幽「何ですか?」
『降ろして、くれない?』
幽「嫌です。」
『いやいや、早く降ろしてよ恥ずかしいんだけど。
 ほら周りの人からじろじろ見られてるから。』
幽「・・・。」
『え、スルー?てかどうかしたの?』
幽「いや
このまま貴方と神隠し
てことになりませんかね…なんて。」
 

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