小説
□Conceive of life as a comedy
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「ねぇ、姉さん……」
「どうしたの? 風介」
「どうして、私達には親がいないの?」
その質問に対し、瞳子は思わず眉を潜めた。
お日様園にいる子は一回は、必ずこの質問をする。
その時に『あなた達は捨てられたのよ』なんて、答えられるはずがない。
「えっと……」
「ねぇ、やっぱり私達って捨てられたの?」
風介の鋭い洞察力に、瞳子はひるんでしまった。
そして、その反応をも風介は見逃さない。
「やっぱりそんなんだね……」
「風介……」
風介の目から、みるみる涙が溢れ出した。
「どうして……私達は悪くないのに……」
「仕方ねぇだろ! これが俺達の運命なんだから!!」
「晴矢……」
近くで話を聞いていた晴矢が、突然そう叫んだ。
風介は、塗れた瞳で晴矢を見る。
「泣いたって仕方ねぇんだよ! 俺達は悪くないけど、仕方ねぇんだよ!!」
そう叫ぶ晴矢の目にも、涙が浮かんできた。
「晴矢、ごめん……本当にごめん」
泣き出した二人を見て、正直瞳子も泣きたい気分だった。
「それはちょっと違うんじゃないかな?」
「ヒロト……!」
いつの間にか、サッカーボールを持ったヒロト、そこにいた。
「オレ達は親がいないけど、姉さんや父さん、それに友達がいるじゃないか。もし、お日様園に来れなかったら、みんなと会えないんだよ。門限もあるから、いつまでもみんなと遊べないし」
風介と晴矢、そして瞳子までもがヒロトの言った事に唖然とした。
それを見ると、ヒロトはニコッと笑う。
「ね? 考え方が変われば、全て変わるんでしょう?」