小説

□Beginning of the end
1ページ/2ページ



「うっ・・・・」


「うあっ・・・」

「あ゛ぁ・・・・」




施設内に響く声―――――・・・・・・

そのすべての声が『子供達』によるものだった

「いたいよ・・・『とうさん』いたいよう・・・」

「た、たすけて・・・・『とうさん』」

「もう、やめてよ・・・『とうさん』」


子供達が口々に叫ぶ『とうさん』という言葉


皆がすがるように、祈るようにこの言葉を叫ぶがその言葉は届かない


そう、この現実を創りだしたのは

紛れもなく『とうさん』だった・・・―――
――

ロボットやマシーン、この世界の最先端技術が集めれてできたこの施設は

復讐

という小さな単語のみでできたモノだった


「ヒートッ!しっかりしろ!」

ヒートとは金髪の少年を指しているが

この施設で本名を呼び合うことは決して許されなかった


「父さんッ!もうやめてくれッ!
こんなの続けてたらヒートがぁッ・・・」

赤い髪の少年は決して届かないことだとは思っていても

懇願せざるを得なかった


俺が、俺が、ヒート達を・・・・



お日様園


吉良星二郎が設立した孤児院だ

息子なくした吉良星二郎はここにいる子供達が何よりも生き甲斐だった

しかし、3年ほど前見つけてはいけない『エイリア石』を見つけてしまうまでは――――――・・・・・

息子を殺した奴らに復讐してやる


そんな心の奥底に封印した思いが

また、こみ上げてきてしまった


だが、それは悲劇とも言うべきかそれとも喜劇か


孤児院の中に流星が瞬いたような紅い髪の少年がいた


かつての息子の面影を観てしまった

息子と同じな『ヒロト』と名付けて

彼は他の子供達と同じように愛されたが

何かが、違った

本人はとうに気づいてはいたが、この瞬間が永遠に続くよう願っていたが

他の子供達はちゃんと『本物』として観てもらっていたが、

彼は亡き息子『ヒロト』として愛された

その彼もまたこの施設にいる

父を止めようと
自分のせいでみんなが・・・


俺がやらないと・・・・


この日々を終わらせるために何をすればいいか

誰もが理解していたが、乗り越えられなかった
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ