短編

□続とハロウィン
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【続とハロウィン】



私は今、カボチャの帽子を被り皆から貰ったお菓子を貪り食べている。ここは自分の主である続様の城(家)だ。従者その2である私の仕事場ともいえる場所である。

キッチンでは先輩従者の花村さんが皿洗いをしており、私の主様はリビングで優雅にお茶を飲んでらっしゃる。ああ今日もかっこかわいいです!

そして私はまだ続様からお菓子を頂いてない。これだけ私がお菓子を食べてアピールしているのだ。もうぶっちゃけお菓子じゃなくても良いんだけどね。続様から何か貰えるなら何でも良いけどね。


『続様続様!』
「?何でそんなにテンション高いんだ?」
『トリックオアトリート!お菓子ください!』
「・・・まだ食う気かよ。太」
『ぎゃー!!乙女に何てこと言ってんですかー?!』


聞きたくない言葉が飛んで来そうだったので、とっさにお菓子を掴み投げつける。しかしそれはあっさり続様にキャッチされる。流石は続様だ。


「菓子やらねえぞ?」
『いやいやいや欲しいです。今のは不可抗力です』
「ふん」


ポイっと放り投げられたのはキャンディで、それは私の手の平に着地する。続様がキャンディだって!かわいいなこのっ!


『続様ありがとう!大事に食べますね!』
「ん」
『ん?』
「トリックオアトリート」
『え…』


今度は続様からお菓子を要求されてしまった。貰ったお菓子なら沢山有るのだが、自分で用意したお菓子は何処にいったのやら。もしかしたら既に自分のお腹の中か、それとも何処かに埋まっているのか。皆に貰ったお菓子の山に目をやり、ある考えを思い付く。


『お菓子あげません!』
「!!……なら」
『だからイタズラしてください!』
「は?」
『だって上げなければイタズラなんでしょ?さあどうぞ!』


腕をバッと効果音が付きそうな勢いで広げ、期待の眼差しを続様に向ける。何処からでもかかってこいですよ!続様にイタズラしてもらえるなんて、悶えますよ私!


「…そういうことならイタズラしてやんねー」
『え゛?!』
「嫌がる奴にするから楽しいんだっつーの」


そんな変なモノを見るかのような目止めてください。私はうぅ、と唸りながらお菓子の山を消化していくのであった。途中で花村さんに注意されたけど知るもんか。嫌がらせの如く食い散らかしてやったよハハハ。




(おお!)
(今度は何だ?)
(私がイタズラします!!)
(は?!お前に菓子やっただろうが!)
(イタズラしてくれない続様が悪いんですよーって、逃げないでください!!)
(着いてくんじゃねえ!)


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