長編

□軽やかに駆ける
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【07:軽やかに駆ける】



たどり着いたのはある施設、もとい研究所。絶つもの―セイバー―のある場所。ここの座標だけが印された簡潔なメールが送られて来たのはついさっきのこと。


『見取図とかもあったら結構楽に回収出来ると思ったのに
・・・さすがに正面突破はやめた方がいいかな』


裏口を探して軽く外周する。監視カメラの類いは無く、見張りのみ。その見張りがいる所が出入口のようだ。なかなかスリリングな潜入ミッション。

裏口らしき所に立っている見張りは二人。幻覚でも見せてこっそり入らせてもらいましょうか。





ぴろぴろり〜


気の抜けた着信音が虚しく響いた。


「誰だ!!おとなしく出てこい!!」
『(チッ、誰だメールしたヤツ)』


物陰から飛び出す。見張りは二人。首に一発手刀をいれ、まずは一人。相方が倒されたことに気付いたもう一人が銃をこちらに向けた。


『遅いっ!!』


ナイフを片手に急接近し、銃をバラバラに切り刻む。私は空いていたもう片方の手で相手の頭を鷲掴みにした。


『―――貴方は何も見ていない
いつも通り仕事をした
何も異常は無かった
―――そのまま続行しなさい』
「・・・・・・、はい」


倒れているヤツにも同じように催眠をかける。そして私は堂々と裏口から侵入した。


『(結局誰からのメールだったのかしら?・・・・・・、皐帰ったらおぼえてなさいよ)』




**********


一応監視カメラの有無を確かめながら壁に張り付き曲がり角を確認する。時々見かけるのは白衣を着た怪しいヤツ等だけ。


『(見つかってはいないみたいね
とりあえず“例のもの”を探さないと)』


捜索を開始する。すると時々聞こえてくる子供の声。泣き叫ぶようなその声から判断すると、やっていることはとても人道的とは思えない。


「チッ、コイツはもうダメだ
次の持ってこい」
「や、やだ!うう、うあああ!!」
「おとなしくしろ!!ゴミの分際で!!」

『(人体実験ってとこかしら
考えることが下劣だわ
神の力がそんなに甘い訳無いじゃない)』


すでに誰かが所持している可能性もあるし、何処かに安置されてる可能性もあるってことね。怪しい部屋をしらみ潰しに探すしかないか・・・、面倒だわ。



「ガキが逃げたぞ!!捕まえろ!!そいつは―――」
『・・・・・・?!』


聞こえてきた怒鳴り声に驚き、曲がり角で誰かとぶつかった。私は倒れなかったものの、相手は尻餅をついてしまっていた。


「え・・・、あ・・・?」
『大丈夫?』


手をさしのべ起こしてあげようかと思ったのだが、それは呆気なく遮られた。


「?!何だオマエは!!」
『見つかった?!逃げるわよ!!』


座り込んだままの子の手を引き走り出した。まずい、非常にまずい。穏便にブツだけ回収して帰るつもりだったのに。


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