長編

□不安定なやり取り
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【15:不安定なやり取り】




『おかえり、二人とも』




一足先に戦場から離れていた私は、二人の気配を感じ、声をかけた。




「む・・・、見つからないようにこっそり入ってきたのに」


『不意打ちでもするつもりだったの?』




笑って言い放ったその言葉に、静まり返る。冗談めかした会話、本当なのか嘘なのかは分からない。兎にも角にも、今戦の戦利品の行方が気になるので、尋ねる。




『冗談よ。で、遺産はどうなったの?』


「此処にある」


『流石っ♪』




聞くまでもなかったらかしら。見るからに機嫌が良いものね。でも、やっとこれで遺産があっちとこっちに一つずつになったわけだ。


ダアトの書、ねえ…。今回もまた予言書だったのね。嫌われているようだけど、ちゃんと解読出来るのかしら。言うこと聞かないからって鎖付けてるし…。




『邪魔者は退散するわね?後で連絡ちょうだい』




二人がイチャイチャしだしたので退散退散っと。扉から出ていき、外に出た所でふと立ち止まる。




『何処に行こうかしら…?』




**********




特に行くところも無かったので、久しぶりの我が
家に帰ってきた。独り暮らしにしては些か広すぎるが、お金は十分すぎるくらい持っているので問題ない。


帰りに買ってきた食材をテーブルに並べ、恐る恐る冷蔵庫を開ける。そこには、思っていたような腐敗臭漂う魔窟は存在しておらず、ただのガランとした白い空間が空けられていた。


ふう、と一つ息を吐き安堵する。再度中を確認し、調味料が扉の棚に残されているのを確認する。




『……簡単にスープとパスタでいいか』








コトン




出来上がった料理をテーブルへと運び、席に着く。そしてズルズルとパスタをすする。


私の持つこの烙印は、聖戦絡みのものだろう。いや、絶対絡んでいるに違いないわ。刻まれたタイミングがそう物語っているじゃない。皐がダアトの書を解読したら、この烙印の記述が無かったか聞いてみようかしら。…素直に話すとは思えないけれど。








ヴー、ヴー、




音の発信源は私のケータイ。マナーモードにしたままだったので、バイブレータでケータイが震えている。手に取り画面を見ると、“メール一件”の表示。


そして、送り主とメール内容を見て笑みを浮かべた。


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