<短編−弐−>

□無条件の愛
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なんだろうな。

ガキが出来て父親になったと思ったら、急に面映ゆさを感じるようになった。いや、というよりも、何とも言えない感慨に捕われる。
そして、最近になって少しは喋り上手くなった息子たち。舌足らずに、それでも一生懸命に『ちちうえ』なんて言われたらな……。

どちらかと言うと、ガキは苦手じゃなかった。それどころか、かごめ曰く俺は『子煩悩』なんだと。蓬莱島のガキたちのことと言い、半妖の小娘のことと言い、子どものことになると俺は、捨て置けないらしい。そこには、己と同じ『半妖』という立場も少なからず絡んでいるのかもしれないが。
だが、弥勒や珊瑚が嬉しそうに、愛おしそうにガキをあやす姿を見てると、かごめとのガキが欲しいと強く思うようになった。そして暫くして、念願叶ったという訳だ。


生まれて三年、喋りもそれなりに出来るようになった息子たち。だが、あいつらと一緒にいて時折つと、あることを思うようになっていた。『子ども』というのは、無条件に親を愛するような気がする。
どんな親でも、ガキはちっこい手を伸ばし、泣いたり笑ったりしながら『親』を呼び、『大好きだ』と言う。
ちはやとさくも、また然り。


「ちちうえ〜」
「だっこ〜」


目をキラキラとさせながら、何のてらいもなく伸ばされる小さな手。それは見ていて、儚くも脆い。庇護なしでは、生きてはいけないか弱い存在であることは間違いねえんだ。

二人一気に抱き上げれば、先日に比べてまた重くなっているように感じて、こいつらの目まぐるしい成長の早さに目を細めたくなる。
どんどん、大きくなっている、と−……。


「ちちうえ、好きだよ!!」
「さくも!!」


何の前触れもなく、そして、無邪気に『好き』と叫びながら、ガキたちが俺の首に抱き着く。そこに、何の諂いも無い。
無条件に俺達へ『愛』を示してくれる。
ちちうえは〜?と、妻によく似た瞳をキョトンとさせて聞くさまに、自然と口許が緩む。


「ああ。俺もだ」


何の邪気も屈託もなく笑いながら、絶対の信頼と愛を示してくれる己が子。そんなガキを『守りたい』と俺達が思うことも道理なのかもしれねえ。

こういうことも、ちはやとさくの父親にならなければ、わからなかった感情なんだからな。




Fin


後書き

久々に書いた小説が、また支離滅裂で何が言いたいのか、よくわからないという、最悪の事態に……orz
ぶっちゃけ、小児科ネタと、とある本を読んで突発的に書いたものです……f^_^;というか、こういうことは、弥勒さまに語ってもらったほうがしっくりと来てたかも(^-^;



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