<短編−弐−>

□夫婦証明 ここにあり
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かごめの周りはいつも人だかりが出来る。ガキから年寄りまで老若男女構わず、かごめを中心に人が集まる。だが、圧倒的に野郎どもの割引が多い。村にいても、妖怪退治の依頼を受けて赴いたその地、所用で訪れた地でも。かごめは近隣国でも有名だった。奈落を倒した異邦人いうことと、その美貌から。必ず男どもが寄ってくる。

今だって、そうだ。


「かごめさまは、本当にお美しい方だ」
「そうじゃな。まこと天女が舞い降りたかのようじゃ。ほれ、見てみろ。笑った顔はなんとまあ、あいらしゅうて。是非とも俺の嫁さ、来て欲しいな」


かごめを囲む男たちの声が、人並み外れてよく聞こえる俺の耳に次から次へと、入る。


「かごめさま。俺の嫁にきてくだせえ。俺ならかごめさまをずっと幸せに出来るだで」
「バカか。何をぬかしとる。ここらの男どもはみんなそう思っておるんじゃ。抜け駆けは許さねえよ」


大きな笑い声が辺りに響く。

気に喰わない。何だってんだ、あいつらは。さも当たり前のようにかごめに求婚しやがって。かごめは、『他の』誰の者でもねえんだ。冗談で言ってんだろうが、ハラワタが煮え返るぐらいにムカつく。
ここで、はっきりさせる必要があるな。

俺は、かごめを取り巻く野郎どもの中を掻き分けて進むと彼女の肩を抱き寄せた。


「かごめ。用はもう済んだだろ。ならば、さっさと帰るぞ」
「犬夜叉…」
「なんだぁ?お前は…。かごめさまの肩を馴れ馴れしく抱きやがって…」


幾つもの剣呑とした目が俺を睨む。
そんな野郎どもを、フンと鼻で笑ってやった。


「あ゙ぁ゙?『おれの女房』の肩を抱いて何が悪いんだ?」


思い切り、『おれの女房』の部分を強調して睨みつける。野郎どもの顔が思い切り引き攣るさまを見て、ざまあみろと思う。


「なっ!?よ、嫁!!」
「てめぇ、嘘八百ならべて何をほざくかっ!!」
「っけ!!……なら、見せてやろうか?『証拠』ってヤツをよ」


ニヤリと笑って、ポカンと呆けて突っ立ったっているかごめの頤をとらえて、瞬時に口づけた。


「ちょっ、いぬや…」


かごめが逃げられないように後頭部をしっかりと固定し、続けざまに彼女の射干玉の黒髪をさりげなくあげた。晒さけだされた透けるような白い肌に、咲き乱れる紅花が姿を顕す。目端に映る男どもの顔が、みるみるうちに蒼くなっていった。


なんて、愉快なんだ。
勝ち誇ったような気分に浸たる。

わかっただろう。こいつ(かごめ)は俺の嫁だってな。


俺を剣呑な目で見遣った男どもを、牽制の意味も込めて唸り声を小さくあげ、睨めば、男どもはサッと視線を逸らした。

馬鹿だな。

こいつに、手なんか出してみろ。明日には断末魔をあげながら、その身体がのたうちまわることになるぜ?




Fin


後書き

久々に書いた小説がこれって……どうなんだろう(--;)
更に稚拙化、支離滅裂化、尻切れ蜻蛉化が激しさを増しているようにしか思えてなりませぬ…orz

さて、犬夜叉。あまりにも余裕無さ過ぎです(笑)



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