<短編−弐−>

□はじめの第一歩
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夕飯も食い終えて、調度いい満腹感と心地好い暖かさが合わさって、軽く睡魔が襲う。囲炉裏で薪が爆ぜる音をどこか遠くに聞きながら、うとうとしかけていた時……。


「犬夜叉…ねえ、犬夜叉。見て、さくが…」
「…う、ん?」


かごめの呼びかけに、微睡んで遠退きかけた意識を呼び覚まして、顔をあげる。顔を上げて……咄嗟に言葉が出なかった。眠気なんて一気に吹き飛んでしまった。


「…あう…」


先程までかごめの膝にペタンと座っていたはずのさくが、ひとりで立ち上がっていた。そして小さな手を広げ頼りなさげに、それでも一歩ずつおれの方に歩いてくる。


「さく…お前…」


歩いて、る…。
昨日まで、立ち上がることすら出来ず四つん這いで這ってたというのに。


「…あうっ」


右足がカクンと折れ、横にフラついて座り込んだ。けれども小せえ手を前について、懸命に立ち上がろうとする。
おれは無意識のうちにさくの方に両腕を伸ばして、息子を何度も呼んでいた。


「ほら、さく、踏ん張れ。さくっ!!」


ぎこちなく立ち上がって、また一歩踏み出す。


「そうだ、いいぞ。そのままこっちに来い」


一歩一歩。確実に進んでくる。
あと一歩というところで、さくが前のめりにまろびそうになって、寸での所で小さな身体を抱き上げた。
抱き上げて、始終笑ったままのさくの顔を覗き込む。


「…今…歩いてたよな?お前…」


さくが、歩いておれの許まで来たという驚きがまだ抜けきれない。すると、当たり前だといわんばかりに思い切り髪を引っ張られた。離せ、と言ったところでコイツが離してくれるわけでもねえから、仕方なく放っておくことにする。
穏やかな笑みを見せるかごめと目があって、少し肩を竦めてみせた。


ガキというのは、本当に見ていて飽きない。日々刻々と変化していく小さな個々。この先、如何な変化を見せてくれるのか楽しみだ。



Fin


後書き

『イクメン』犬夜叉、再び登場(笑)実習先が小児病棟と混合だったせいか、まだ1歳未満の赤ちゃんと会うこと多く、とてとてと歩く赤ちゃんを『可愛いなぁ』と思いつつ見ていたところにネタが光臨。

書いてみました。

うん、撃沈……orz

なんか、文章の羅列が鬱陶しいなぁ…ゞ(`□´")

精進しますf^_^;

因みに、『イクメン』とは育児をする男性のことで、我が県のスローガンだそうです。しかし、戦国時代で育児をする男性って、あまりいないそうですf^_^;




 

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