<短編−弐−>

□優しい掌
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「かごめ…。」


名を呼ばれて、背後からやんわりと抱きしめられ、彼の手が、あたしの髪をさらりさらりと優しく、何度も梳(くしけ)ずる。その度に首筋に羽毛のように触れる彼の指の温かさに、思わず喉を鳴らし首を竦ませた。あたしのその反応に、犬夜叉は気を良くしたのか、小さくフッと笑うと、チュッとリップ音をたてて、口づけを落とした。そして、チクリと首筋に刹那の痛みが走った。


「あ…ん、もう…、痕はあれほどつけないでって言っているのに…。」


日頃から言っている事を、なかなか聞いてくれない彼を、振り返るようにして睨む。だけど、そんなものが彼に対して効果もなく、口角を上げて笑うばかりだ。それどころか、腰をさらわれ、あっという間に彼の膝の中に納まってしまった。もう、何もかも、彼の思うが儘。
犬夜叉の手が額を撫で、かと思えば横髪を掬い、口づける。耳の横の後れ毛をクルクルとその長い指先に巻き付けて、耳にかける。あたしの髪に触れる犬夜叉の目は、いつもの、勝気の強い子供のようなそれではなく、甘い雰囲気と更に深みを増した金色の瞳。その瞳を見ただけで、力が抜け、頭もクラクラとして、何も考えることが出来無くなる。

嗚呼、なんて、蠱惑的なのかしら。


「随分、良い顔をしているな、かごめ。」


目尻から頬に順々に掌が辿り、指の腹でツーッと、撫でられる。


「…犬夜叉のせいよ。こんなことをされて、その上、そんな顔を見せられたら…ね。」

「顔、ねえ…。どんな顔だ?」

「あんたのその、如何にも楽しそうな顔。」

「そりゃー、至極愉しいからな。…………もっとお前のそんな顔が見てえ。……もっとよく見せてくれよ、かごめ…。」

「あ…。」


耳元で囁かれて、ゾクゾクと背筋が粟立つ。つい、思わず声をあげてしまった。また、犬夜叉の唇が面白そうに上がる。


「いい子だ。」


耳朶を軽く食(は)まれる。同時に犬夜叉の手はあたしの衿元を緩め、肩を這い、鎖骨を撫でていく。なんと温かく優しい手だろう。抱きしめられる時は力強く、愛される時には、情熱的、けれど優しい。


「…犬夜叉。」

「ん?」

「…大好き。」


その言葉を言った途端、犬夜叉が僅かに瞠目したようだった。が、手で後頭部を優しく包まれたと思ったら、視界は白銀色で覆われていた。
犬夜叉が笑う。
予感がした。


きっと、これから、「愛される。」
さっきよりもずっと、熱く。


あたしに触れる、優しい掌が、急激に熱く感じた。



Fin


久々に書いた小説がこれか〜いっ!!
なんか鬱陶しいぞっゞ(`□´")
支離滅裂…orz


リハビリがまだまだ必要なようです(´Д`)





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