<短編−弐−>

□Check mate
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そろそろ、勝負時かしらと思い、クイーンを進める。犬夜叉の番になって白のポーンを黒のクイーンの陣営地にコトリ、と置いた。

「『ちぇっく』だ。かごめ」

犬夜叉がニヤリとさっきの笑みを閃かせた。

「あ……」

しまった。と思った時には既に遅く、黒の駒の殆どは白のキングを攻めんと黒のキングを囲んでいて、万が一の為に残しておいたルークも、ポーンを取れる位置にはいなかった。

ポーンは、敵陣営のクイーンの位置まで進むと、そのポーンはクイーンに成り代わることが出来る。きっと犬夜叉はこれを狙っていたんだわ。形勢不利と見えた時から。しかも、あたしは、彼の作戦に気付いていなかった……。だから、あんなに余裕だったのね。最早、万事休す…。
犬夜叉の長く綺麗な指が、白の女王に伸びる。

「チェック…」

白の女王が黒の王の前に立ちはだかり、鈍く光る両刃の剣を振りかざす。あたしにはそう見えた。

「…メイト」

コトリ……と盤上から弾かれた黒のキングが机の上に落ちて、コロコロと転がった。

「ま、負けた…」

ガックリと肩を落とした。

「約束だぜ、かごめ」
「分かってるわよ」

罰ゲームは何を言い渡されるんだろうと、チェス駒を片付けようと伸ばした手を掴まれた。えっと思ったときには、いつの間にベッドに上がっていたのか、ベッド上にいた犬夜叉に引っ張り上げられて、気が付いたら眼前に彼の顔にあった。あたしの顔の隣で、彼の白銀色の髪がゆらゆらと揺れている。

「い、犬夜叉…?」
「………」

スッと彼が動いて、首筋に顔を埋められる。頬に髪が当たって少しくすぐったかった。首筋を這う柔らかく温かいものが何であるかを理解する前に、服のボタンが全て外されていた。外気に当たって少し寒い。

「犬夜叉、寒いわ」
「ん…。じきに温かくなる」

彼の手が胸を這い、そして彼は胸に顔を埋めた。ほだされた頭に、抵抗という言葉は浮かんで来なくて、ただ犬夜叉を受け入れる。その最中、散らばったままのチェス駒が気になった。

「犬夜叉、チェス駒を片付けなきゃ…」
「そんなの後でいいだろ…」

大きな手が頬に添えられる。

「罰とか、そんなことじゃなくて。俺はお前が、欲しい…」

犬夜叉の金色の瞳に熱いものが宿っている。あたしは、彼の首に腕を回した。

「それなら、チェスをやる必要なんてなかったんじゃないの?しかも罰ゲームをつけてまで…、」
「ただの余興でやったまでだ」

スッと犬夜叉が胸に顔を沈めた。刹那、快楽の前駆ににも似た甘い痺れが胸から全身に向かってほとばしった。

「最初から『そう』言えばよかったのに」
「かごめの頑固な『守り』を壊せなきゃならねえからな。そうするには『攻める』しかねえだろ?」

犬夜叉が妖艶な笑みを浮かべた。途端に背筋がゾクゾクとしだす。

「…馬鹿」

精一杯の虚勢をこの一言に込めて、彼に言い放つ。ゲーム最中と同じあの不敵な笑み浮かべる犬夜叉が、老獪な策士に見えた。



Fin


後書き

支離滅裂な小説になってしまってすみませんッ(T-T)
ただ、犬夜叉に「チェックメイト」って言わせたかっただけなのです←え?
しかも、久々にチェスのルールを思い出しながら書いたため、所々深く不可解な部分がありますが、見逃してください〜〜Orz


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