最終章

□第19話
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―――…


「…若。」

「…これからどうする?」

「……………」


実香の問いに、心の中で答える。


どうもこうも、他に道はないやんか…


放課後、あたし達以外誰もいない教室。
部屋の中は、重苦しい沈黙に包まれていた。


「…仕方ないって。
記憶渡すしか道はないやん。」


少々投げやりに答えると、2人は眉を寄せた。


「若はそれでいいん?」


プツンッ…
あたしの中の何かが切れる音がした。
その音を火種に、想いが溢れだす。


「良い訳ないし、忘れたくない。
それに、これから終わりの日までどう接すれば良いのかも分からんよ。
でも、あたしの気持ちや2人の気持ちを汲んだら3人が傷つく。
…こうするしかないやろ!?

「「……………」」


急に叫んだからか、頭がクラクラした。
グルグルと目の前が回る。


「だったら、あたし達がどう想っても、もう……」

「…?
真菜…?」

「ちょっ、若大丈夫!?」

「―――――エド…」


フッと世界が暗転する。


ああ、倒れたのか。


そう認識できたのは、薄れゆく意識の中で感じた、身体が床にぶつかった痛みと2人の慌てた声と。


…目が覚めたら、エド達が来た事も全てなかったことになっていたらいいのに。

こんな感情、消えてしまえばいいのに。


そう思いながら、あたしは意識を手放した…







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