最終章
□第19話
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―――…
「…ちょっとしたストレスと寝不足ね。
少し寝たら帰っていいわよ。」
「…………」
目が覚めて一番初めに視界に映ったのは、真っ白い天井。
次いで、この空間と外とを遮るカーテン。
カーテンの向こうには人の気配が数人分あって、ガララ…とドアの動く音がして、人が1人出ていく気配がした。
「…若、大丈夫かな……」
「俺らと違って、両想いになってから…いや、エドを好きになってからの期間が長すぎたんよ。
そりゃ、思いつめるわ…」
…あー、そういや倒れたんだっけ。
情けねー…
ふう、とため息を吐いた。
心のモヤモヤは晴れていないけれど、倒れる前よりも思考はずいぶんはっきりしている。
ムクリ、と少しクラクラしながらも身体を起こすと、カーテンが開いた。
「あ、起きた。
大丈b「若ー!!
大丈夫か!!?」
「煩い。」
目の前で、実香に頭を叩かれた今ちゃんが唸る。
それを見て、くすりと無意識に笑みを零した。
「大丈夫やで。
心配かけてごめんなー?υ」
「いや、大丈夫なら良いけど、無理はすんなよ?」
「うわ、セリフお嬢にとられたっっ!!?」
「いや、元々綾乃のセリフって訳じゃないだろ。」
「正論言われたよっ!?」
「ドンマイ今ちゃんww」
いつも通りの光景に笑顔が溢れた。
迷ってても、仕方がない。
あたし達の記憶が無くなろうと、3人を元の世界に帰さなければならない。
それは、もうあたし達の間で暗黙の了解として決まってた。
…でも、ごめんな、2人とも…
2人にはまだ、言わないけれど、あたしの中だけで決めた事が1つだけある。
悲しくても、辛くても、もう決めた。
…だから。
…ごめんな。
心の中で、呟いた。
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