最終章

□第19話
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―――…


ぽつりと滴が上から降ってきて頬に落ちた。


「…雨か。」


俺は急いで手近な屋根のある所へ走るけれど、雨が強くなるのが早くて頭が濡れる。

…まるで、俺の心の中を映したみだいだな。

雨は止む気配を感じさせずに勢いは激しくなっていく。
しばらくぼうっとしながら雨宿りをしていると、足元に影がかかった。

見てみると…


「エド、こんな所で何してん?」

「…綾乃、アル……」

「兄さん、どうしたの?
今から真菜の家に行こうと思ってたんだ。
入る?」

「……………」


真菜の家…そんなの、無理に決まってるだろ。


「いや、いい…
……ッ…!」

「「!!?」」


ぼろり、とタガが外れたように瞳から涙がこぼれ出した。


「兄さん、どうしたの!?」

「いや、何でもなっ…」

「なんでもないわけあらへんやろ!
とりあえず、若ン家に…「駄目だ!!

「は!?」


真菜の家にだけは、戻れない…戻っちゃ、いけないんだ。

ぼろぼろと泣きながら、屋根から出てしまった身体が濡れるのも気にせずに真菜の家は駄目だと必死に頭を振る。


「…綾乃、とりあえず僕らの家に行こう…?
兄さん、傘に入って、風邪引いちゃう。」

「ッ、おう……」


びしょびしょに濡れて、もう顔を濡らすのが雨か涙か解らなかった。
けれど、傘の中に入って雨を遮るとやっぱり泣いているんだと認識する。

…好きなヤツの事で、こんなに泣けるなんて、初めて知ったな …

そんな事を、ぼんやり思った。
俺は真菜の家に背を向け、再び歩きだした…







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