第2章

□第12話
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―――…
(実香Side)


新しいおもちゃを手に入れた。
本格的な冬になる前、非現実的な出来事が起こったからそのなりゆきで。

それを手で持って引きずっているのを見て、周りの人達が俺らを振り返る。


「…ちょっと、いいかげん自分で歩いてくんない?」

「ならまず、この襟を持っている手を離したまえ!

「チッ……」


仕方がないから手を離すと、座り込んでゲホゲホとむせ始めた。

それを見下ろしながら


「あんたは今日から俺の家に居候することになったから。」

「え…ゲホッ」

「…はー……」


と大きくため息を吐いて、ロイが落ち着くのを待った。

…正直、ロイを引き取った一番の理由は先ほどの回想でも書いた通り成り行きでしかない。
それに、まぁ…キャラ的にはロイが好きだし。

イジメられそうで。

だから引き取っただけ。
別に大げさな意味はない。

っつーかどうでもいいし。


「はー…すまない。」

「落ち着いたなら行くよ。」


先に歩き出すと、後ろでロイが立ち上がった気配がした。

…いっそ首輪でもつけてやろうかとか冗談で思いながら、親へ電話をかけた。


「…あ、お母さん?
実香だけど。」


「どうしたの?」

「ちょっと、今日からしばらく友達泊めて良い?」

「あー…はいはい。
それだけ?」

「うん。
じゃ。」


ブチッと電話を切ってふと後ろを見ると、周りを見ながら不思議そうな顔をしているロイが居た。


「…なに、どうしたん。」

「いや…初めて見るものばかりだからちょっと……」

「あー…うん、そーだろーね。
で?」

「…いや、なにも……υ」

「ふーん、あそ。」

「「…………」」


軽くあしらうと、ロイはあまり気にしないそぶりでまた周りを見回し始めた。
なんでこたえないんだろうと思ったけれど、その理由はすぐに思い立った。


「(…リザさんで慣れてるからかな。)」


それから家まで、ロイと会話を交わすことはなかった。





















「…え、男?υ」

「うん。」

「男?υ」

「うん、男。」

「おとk「何回言わせる気か。
ほら、入って。」

「…おじゃまします……υ」


玄関で会ったお母さんに有無を言わさずに、ロイを部屋に入れる。


「おい、実香…大丈夫なのか?υ」

「まぁ、大丈夫だろ。」


大丈夫じゃなかったら、まぁその時はその時で。


「「………」」


会話は続かず、というか今は全てが面倒くさい気分。

じゃあなんでロイを引き取ったんだとか言う文句はスルー。

パソコンを開いてサイトを巡ろうかと思ったとき、携帯の着信音が鳴った。
着信は――…









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