第2章

□第17話
1ページ/13ページ



―――…
(綾乃Said)


ガチャッ


「あ、綾乃。
おかえり。」


部屋に帰ると、ベッドに座っているアルが出迎えてくれた。


「アル。
ただい……」


最後まで言い切らないうちに、1粒の涙が零れた。


「…っと、イカンイカン。」


ぐい、と手の甲でそれを拭うと、心配そうな顔をしてアルが見てくるのを滲んだ視界で捉える。


「…大丈夫?」

「…うん。
自分でやった事やから、泣いてたらアカンよな。」


とそう言って笑うと、アルは真剣な表情をして口を開いた。
そして、


「僕は綾乃の事好きだよ。」

「……ぇ。」


一気に頭が真っ白になって、一瞬呼吸が止まったような気がした。
アルはそんなうちを見てからニッコリと笑って、


「だから、そんな落ち込まないで?」

「え、あ…うん、ありがとう……?υ」


急展開に 追い付けずに苦笑いでそう言うと、アルは立ち上がってそのまま手伝いをしにリビングへ行ってしまった。


「…何だったんだ、今の……υ」


まるで嵐が去った的な勢いすぎて、頭が混乱してベッドにダイブした。

…頭ン中がぐちゃぐちゃやわ……
ロイの事、お嬢の事、アルの事。

…今はもう、何も考えたくない。

頭の中に白い靄がかかっているような感覚がして、うちは思わず緩く頭を振って枕に顔を埋めた。


「…明日、若とエドに話聞いてもらお……」


そしてうちは、晩ご飯でママが呼びに来るまでの間の浅い眠りに落ちた…






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ