第2章

□第18話
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―――…
(アルSaid)


昼の後にスキーに出てから数時間後、僕らは旅館に戻っていた。
皆で相談して、今日はとりあえず普通に温泉に入ることになった。

チャプン…


「いいお湯だねー…」

「よし、出るぞ。」

「鋼の、こういう時くらい早風呂はやめたまえ。」

「…………」


無言でまたお湯に浸かる兄さんを見て、可笑しくなった。

せっかく皆で来たんだもんね。


時間が丁度良かったのか、温泉には僕ら3人しかいない。

…やっぱり、兄さんに相談してみた方がいいのかな…でも…

自分の悩みを話す事で気を遣わせたりしないか、迷惑にならないかと、そんな事ばかり考えてしまう。


「…………」

「…アル。」

「!?
な、何?υ」


考えている間に兄さんから声がかかり、身体が揺れて、水面がバシャンと小さく音をたてた。


「…なんか悩みあんだろ?
言ってみろよ。」

「!!
なんで…」


分かるの、と小さく呟くと、兄さんはさっきまでの僕の沈黙を感じさせない笑顔を浮かべた。


「お前の兄貴だからなっ!!
おおかた、大佐と実香がいるから相談できなかったとかそんなんだろ?」

「…………」


コクン、と頷くと、大佐が頬を掻きながら口を開いた。


「で、私がここにいるんだが話を進める気なのかね?」

「大佐は別にどーでもいいからな!」

「…鋼の、覚えておけよ…?」


苦笑いをしながらも、大佐も僕の話を聞く体制になった。
遠慮は無用、という意味らしい。

自分の中の混沌を人に話す事に戸惑いながらも、ゆっくりと事の顛末を話した…






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