最終章

□第19話
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―――…
(真菜Side)


「…どこだ、ここ……」


確かあたしは、旅行から帰ってきてからすぐに寝たはず…
なのに、今いる空間はただ白が広がっているだけで何もない。
胸の中に嫌な予感が渦巻く。
真っ白な、家具も何もない空間。


「ここは…」

「よぉ、ようこそ。」

「ッッ!!」


声のした方を見ると、思った通り…真っ白い人の形をした何かが立っている。


それは……









「真、理…」

「ご名答!
いやー、楽しかったぜ、お前達の行動が!!」


…なんだコイツ…まるで臨也だな…
…ああでも、真理があたしの前に姿を現したって事は…


「夢は、もうお終い…?」


夢のような…けれど夢であって欲しくないと願った日々が終わる。
関わらないようにと思っていたのに、いつの間にか好きになって…一番、 大切な人になっていったんだ。
だけど。





…そんな夢も、もう終わる。


「ああ、話す手間が省けて助かるよ。
それで、代価だがな。
…お前と綾乃、実香のあいつらに関する記憶を貰う。」

「!!!
そんな…嘘や!?」

「いや、嘘じゃないし。」


嘘だ、そんなの…信じたくない……
自分達の何かを代価にすることは覚悟していた。

だけど、よりにもよって大切な…


「記憶、やなんて…」

「記憶を代価にしないと、あの3人の身体の一部を貰う羽目になるな。
それでもいいのか?」

「良い訳ないやろ!!?」


良い訳ないし、それしか方法はないって分かってる。
分かってるけど…
どうやって2人に説明すれば…


「ああ、説明ならしなくていいぞ。
俺がこの後2人の夢の中に入るからな。」

「はい!?
つか心ン中読むな!?」

「お前の目は一回覚める。
時刻は2時丁度だ。
…せいぜい足掻けよ。」

「無視か!!
って、ちょっ、待っ…!!」


ゆっくりと、真理の姿が薄くなっていく。


嫌だ、覚めるな、まだ……ッ!!






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