【紅桜華伝】

□【序編】
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『余命は一年です』











病院から帰る途中、さっき言われた言葉が頭によぎる。







肺癌になって、治すお金が無く延々と病気を放置してたからこういう時が来るのは知ってた。





けど・・・だけどさ、面と向かっていわなくてもいいのに・・。





好きな剣道も咳が出るようになってやめた。



顧問の先生は癌の事は知らなかったから、もったいないって嘆いたな、



この病は私から全て奪うつもりなのか、そう尋ねたくなるのも当然だろう。







「あーもうっすっきりしないなっ!」







と、一人つぶやき、道に転がっていた缶を蹴る。





缶は空高く上がり、ゴンっといい音を響かせて地面に落ちた。



それが人の人生、いや此れからの私の運命を暗示しているようで心のもやもやは消えるどころか、募っていくのが私でも分かった。






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