【紅桜華伝】
□【序編】
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心にある喪失感を無視し、歩を進めると、そこには見られない神社。
できて真新しいのか鳥居は紅の色が映えている。
そして、後ろにある大きな桜の大木。
誰をも目を引くだろう、いまどき珍しい紅のそれがあった。
勿論、私も例外じゃないし、惹かれるものを感じた。
思い立ったら即行動。その理念に基づき、それを見るため、近づきそれに手を触れる。
その時、光に包まれる気が否、包まれた。
拒む必要のない、懐かしさを含む光を感じ私は目を閉じる。
目蓋の内側にはなくなった養父、養母の姿が映った。
私の容姿も自らの貧困ささえも気にせずに受け入れ、養ってくれたやさしい人達の・・・。
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