虹入り水晶

□虹の空、銀の海 第一部
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「レッド本当にジムリーダーになりたいの?言っちゃなんだけど、今のレッドが一か所にとどまるってあまり想像つかないな」
「そうよねぇ。なにしてるのか全く連絡ないし…いざレッドの話しがあがったら失踪話だもの」
「あ、去年の?」
「去年の」
「んー…まあオレもここまで結構自由に旅してきたし、このままトキワジムがカラだったらトキワの人達も不安だろ?あそこの人達とも知らない仲じゃないし…オレでいいんならジムリーダーになりたい、かな」

ジムリーダーとは、街の代表者の役割をしている。
なのでリーダーは基本、その街の者から選抜されるのだが、トキワの住人は指導者たるリーダーの不在でポケモンバトルをする者が年々減り続けるという悪循環。それもトキワジムが長く閉鎖される原因の一つだ。
そして雄大なトキワの森が大都市との間に広がっているのでトキワとマサラは揃って都会から切り離されている。
余所の人物がジムリーダーに就任してもひと月ふた月でトキワに馴染めるとは思えない。
そこを考えたら、トキワと縁のあるレッドならば住民も受け入れてくれるだろう。

「まあ、レッドがいいんなら私は応援するよ。がんばってね!」
「っおう!」
「やるなら合格するのよレッド!」
「それはプレッシャーだぞブルー…」
「あら、レッドでもプレッシャーを感じるときがあるのね」

ほほほと口を手で隠して笑う。
それ以上なにを特訓しに行くのかと疑問に思ったが、晴れた顔で研究所を出ていくレッドの背中は、やはり前よりも大きななっている。

「それじゃああたしもそろそろ行くわね」
「なんじゃブルー。お前さんさっき来たばかりだろうに」
「いろんな場所回ってたから図鑑の調子を見せに来ただけだもの」
「うむ、ブルーはまじめにポケモンの情報を送ってくるから助かるわい」
「ほほほ、当然よ。それじゃあまた」
「うん、またね!」

長い髪を軽やかに揺らしてブルーも研究所を後にする。

「…なんかブルー、急いでるのかな?」
「さあのう…ただ、少し気になるのう」
「博士?」
「…ブルーの奴、図鑑の耐久なんかを聞いてきたんじゃよ」
「耐久を?」
「うむ、火山付近の熱さには耐えられるか、吹雪の中はどうかとか」
「ブルー…」
「まああやつに限って無茶なことに首を突っ込む事などなかろう。あやつの機転とずる賢さはワシがであってきた中でも目を見張る」
「博士…」

その評価を聞けばブルーはどう思うだろう。

「さて、待たせてしまったな。準備はできているかな?」
「ばっちりです!」

中身の詰まったリュックを見せれば博士も最低限の荷物を持つ。


 ピピピピ〜


ポケットからポケギアをとるがワンコールで音が止まった。

「なんじゃ、いたずらか?」
「…いえ、少しでますね」
「ああ」

オーキドが机の資料に手を伸ばし、準備をする様子を確認するとホワイトは研究所の外に出る。

入り口で辺りを確認するが、その場で何をするでもなく研究所の周りを歩く。

「ホワイト殿」
「あ、アンズ」

開けたマサラの町並みは見通しがいいはずなのだが、呼ばれるまでアンズの存在に気がつけなかった。

「御話し中に申し訳ござらん」
「ううん、いいタイミングだったよ。もう博士とジョウトに行くからセーフ」
「ではこれを」
「ん」

折りたたまれた紙その場で開いて中身を確認する。

「依頼された者の足取りです」
「…やっぱりブルーの両親はブルーを探してるんだ。今も」

ホワイトはアンズという忍を雇った。しかしそれは誰にも明かしていない。
ブルーには、両親との話が取れてから吉報という形で知らせたいからだ。
ブルーの両親は場所を転々とするので期待をかけてから肩すかしという嫌な事態を見越して内緒に調べを進めている。

「途中、海外へ移られた時期もあります。ですが最後の住所」
「…コガネシティ?」
「そこが今ターゲットが住んでいる場所です」
「ターゲットって…いや、うん。ありがとう!住所が分かればこっちのもんよ!ありがとうアンズ。報酬は口座でいいんだよね?」
「……」
「アンズ?」

静かに、しかし先ほどまでの毅然とした態度とは異なる沈黙に顔を伺うが、顔の半分を布で覆われているので表情が読めない。

「任務は、もう終わりなのでしょうか」
「うん、こうして調べてもらったし…十分だよ?」
「そう…でござるか」
「アンズ?」

「ホワイトー。そろそろ行くぞ」

「あ、博士……ってアンズ!?」

ほんの少し目を話しただけですでにアンズの姿はない。
この開けた土地で音もなく姿を消したアンズの忍の腕前に感心のため息が出る。


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いざ行かんジョウトへ!

しかし管理人の小説は生々しい話が出てくるなぁ。
成長が遅めな義姉のコンプレックスが解消されるのを祈るばかりです。
そしてレッドのジムリーダー就任話やブルーの何やら怪しい行動も書いててむふふとしていました。
私塾組も卒業しリーグに向けて特訓中!
アンズはちょっぴり贔屓
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