雪の妖精
□第八章
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小さな町カジキタウンの公園で日課の卵磨きをするシオン。その近くで緑華が自主的にコンテストの練習をしていると不審人物に遭遇しました。
「あ〜〜んっこの前のチコリータじゃない! ひさしぶりぃ〜〜!!」
ハクタイジムのジムリーダーにして草ポケモンマニアのナタネさんだ。
ナタネさんはポケモンバトルの面白さを普及するためにいろんな街で模範試合を行っているそうだ。
今日もこの公園で模範試合をするために足を運んだらいつか見た美少女チコリータがいて考えるより先に飛びついたとか。
『あ…相変わらずですね』
「もう草ポケモンを愛でないあたしはあたしじゃないって感じ!」
「あ、ナタネさんだ」
「「「ナタネさーん!!」」」
年下の集団がナタネさんを囲むように集まった。
模範試合を見に来た子どもたちだろう。
『こんにちはみんな! ズバリ、元気がいいね!』
ナタネは子供好きするような晴れやかな笑顔で子供たちを迎えた。
「ナタネさんこんにちは!」
「ん?」
「こんにちはナタネさん。シオンはこの前ぶり!」
「サトシ君!」
『ヒカリ! 久しぶり!』
サトシとヒカリもこの町に来てたようだ。
と、子供たちの間をすり抜けてタケシさんがナタネさんに接近する。
「ああ、この爽やかな草の香り…麗しき森の香り! この香りは間違えなくナタネさん!! 自分に会うためにはるばる旅してこられたんですね。そうでしょうナタネさん。このうん(ドスッ)…め、い」
「ム〜…ケッ」
「グレッグルの毒づきだ」
「はじめて見た…」
「すっげー!」
タケシさんがグレッグルに連行されて変わるようにサトシたちがナタネさんの前に出る。慣れた仕草だ。
「ナタネさん、この町でなにしてるんですか?」
「ズバリ、ポケモンバトル普及のための模範試合!」
「へー、そうなんですか!」
「ヘイ!!」
いきなり声をかけて登場したのは何時かのロケット団。
「ロケット団!?」
「こんなところでなにしてるの」
サトシは急な登場に驚きヒカリは毎度のように呆れている。
「こんなところでなにしてるのの声を聞き!」
「以下省略ニャ!」
「しつこいぞお前達!」
「オーホッホッホッホ! 今回は速攻アーンドアクティブにきめるわよ! ハブネークいっけー!」
「サボネアお前もだ…いだだだだ!!」
「そうはさせるかっピカチュウ十万ボル…」
「ああぁ〜〜〜〜!!!」
サトシの声をナタネさんの悲鳴がかき消した。
笑顔で猛ダッシュしコジロウのサボネアにダイブし頬スリをする。
「この前のサボネア会いたかった〜ん!!」
「ま、またかよ…」
コジロウは呆れている…いや、引いている。
「この緑色! このツヤ! かわいいわぁ〜〜。ん〜〜やっぱりこの子サイコー!!」
相変わらずの草タイプ好き…どんな時でも崩さないその姿勢はここまで来ると見事だ。
「〜〜〜っちょっと待て―!! 馴れ馴れしい! 離れろ!!」
ずっとサボネアに頬すりをしているナタネに痺れを切らしたコジロウはばっとサボネアを取り上げる。
「ねえ、その子あたしに預けてみない?」
「なに!? 前にも増して図々しさに拍車がかかってるぞ!!」
「ちょっと、そんなことよりピカチュウゲットどうすんのよ」
「そうニャ」
もうそんな空気ですらない。
「ナタネさん模範試合は?」
「早く見たいよ」
こちらは全く関係ない出来事をただ見てるだけで痺れを切らした様子。
「ゴメンゴメン、忘れてた。そうだ!丁度いいからタッグバトルしない?」
「タッグバトル…ですか?」
「そう! あたしのナエトルとこの人のサボネアが組んでサトシ君たちとバトルするの。ね、いいでしょ?」
「勝手に決めるな!」
『ははは…』
コジロウは完全に巻き込まれてる。
「あ〜、おじさんビビってる」
「ほんとは弱いんだ」
そんなコジロウを子供たちが茶化し半分でひやかす。
「ビビってない!! しかもおじさんじゃない!!」
「じゃあやって見せてよコサンジ!」
「さらにはコサンジじゃない!! どうやったらそんな間違え方できんだよ!?」
「ビビってないならやって見せてよ」
「「「そーだそーだ!」」」
「ぐぐぐぐ……」
完全に子供達に遊ばれてる。
「ようし、見てろよ!」
「サボ!」
「オレやってやるぜ! シオン、オレとタッグ組もうぜ!」
『えっ私!?』
「タケシ、審判頼んだ!」
「任せろ!」
私も巻き込まれた!?
「なんか…」
「さらに妙な展開になってきたのニャ…」