雪の妖精
□第九章
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シンオウ中にあるディアルガとパルキアを祭った神殿の一部、ズイの遺跡の前に来てシオンはディアルガとパルキアの像を眺め、石板を見る。
『すべての命は別の命は別の命と出会い、何かを生み出す…』
「チコリ?」
そっと石板を撫でると冷たい石板に指先の体温を奪われる。
その行動に興味を持った緑華もツルで石板を撫でて見せる。
『ん〜…出会いに無駄はないって意味かな?』
「本当だ! ディアルガとパルキア!…って」
「シオン! なんでここに居るの!?」
『そりゃあ私もディアルガとパルキアに会いに来てたからよヒカリ』
お馴染みの三人といつか知り合ったコーディネーターのケンゴの四人が駆け込んでくるように遺跡前まで走っきた。
「あっ、きみ…」
『久しぶりねケンゴ君』
シンと音がしそうなほど静かだった遺跡前が急に騒がしくなったが…この騒がしさは決して嫌いじゃない。
「にしてもおっきいな〜〜」
「ズイの遺跡って言うんだ。ここは昔の人がディアルガとパルキアを祀った神殿の跡。シンオウにはこういうところが一杯あるんだよ」
『よく知ってるねケンゴ君。勉強してるんだ』
「えっ!? いや…常識だろ!」
そつなく説明するケンゴを素直に褒めるが褒められるのに慣れてないのか照れてる様子。
ヒカリは先ほどのシオンと同じくシロナに教えられた石板の文字を読む。
「お、当たり」
「前にチャンピオンのシロナさんに教えてもらったの」
「チャンピオンに会ったんだ! 凄いじゃん!」
「まあね。ケンゴとは日ごろの行いが違うから!」
胸を張ってヒカリは言う。
石像を興味深げに眺めるサトシにケンゴは「そうだ!」と切り出す。
「バトルの続きここでやろうよ!」
「ディアルガとパルキアが見てる前でか…面白い! やろうぜ!」
ポケッチのコイントスのアプリで先攻を決め勝ったサトシが先攻。
シオンは遺跡の入り口へ続く階段にヒカリと腰をかけて邪魔にならない程度の小さな声でヒカリに聞く。
『ねえヒカリ、バトルの続きってソノオタウンでの?』
「うんロケット団に邪魔されてうやむやになっちゃったから」
「前はピカチュウ対ポッタイシだったが今回はどうかな」
タケシさんが毎度お馴染みの審判を受け持つ。
「ナエトル、君に決めた!」
「エゥ!」
「よおし、行け、キノガッサ!」
「ノガッサ!」
「草ポケモンに草タイプの技は効果が薄い…なぜナエトルにキノガッサを…?」
「前もそうだったけど…また技の凄さを見せびらかすつもりなのよ!」
『まあまあ、でも凄いものは凄い訳だし…』
「チコチコ」
「!?…エゥ」
「ノガッ!?」
ナエトルとキノガッサがこちらを向いた。
「うえっ!?…何?」
『…あれ? もしかして二人とも緑華見てる?』
「チコリ?」
「…ほ〜〜、なるほど」
タケシさんが楽しそうだ。
そして何故だがナエトルとキノガッサが互いを睨みあっている。
「一気に行くぜ、体当たり!」
「かわせっ!」
しかしナエトルという種族のスピードを侮っていたのか、素早さを誇るサトシのナエトルの攻撃を受けて後ろに引きずられる。
「続いて葉っぱカッター!」
「マッハパンチ!」
葉っぱカッターを出すより先に目に映らないほどの素早いパンチが決まった。