虹入り水晶

□第七部
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〜1話〜


ヤマブキの街が見えて街に降りようとした時、懐かしい声が聞こえた。

「ストップストップ、バリアーがあるわよ!」
「えっ!?」

声の通りに止まるがホワイトはバリアーより声の主に驚いて止まった。

「ブルー!」
「はーい、お久しぶり!」

プリンに乗ってゆったりとしたスピードで近づくのはタマムシシティで出会った美少女、ブルーだ。

「久しぶり!…ところでバリアーって?」
「そうそう、さっきの男は忠告無視したけどあなたはちゃんと聞いてくれてうれしいわ。
これよ」

ブルーは何もないところをドアをノックするように叩く。何かにぶつかる音がした。
おそるおそる手をさまよわせてみると何かに当たった。

「これのせいで中には入れないのよね〜」
「(そういえばそんな話があったようななかったような)」
「でも待ってたらそのうち無くなるわよ。あそこの二人ががんばってくれればね〜」
「二人って…やっぱり!レッドにグリーン!」

バリアーの近くで図鑑を開いた二人がいる。ゴルダックを出したグリーンとピカを抱えるレッド。二人の間にはぴりぴりした空気が流れている。

「ちなみにどんな状況?」
「レッドはピカチュウちゃんの身代わりでバリアーの中へ、いい男の人はゴルダックで敵の位置を把握してるみたいよ」

よく思いつくなそういうこと。

「ねえねえホワイト、あの二人とお知り合い?どんな関係?」

好奇心で嬉々とした顔を隠すことなく尋ねるブルー。
ネタでも探しているのか。

「どんな関係って…レッドとは幼馴染でグリーンとはライバル……あっ、そうそう!私たち三人は博士からポケモン図鑑ってのを貰って図鑑のページを埋める旅をしてるの!
まあ、私はあんまり捕まえないんだけどね。二人が捕まえてくれそうだし」
「…」
「ブルー?」
「ん?どうかしたのホワイト?」

また…一瞬だけブルーの顔が暗くなったような気がしたけど…

「あ、そんなことよりあの二人まだ図鑑とにらめっこしてるわよ!」

言われてレッドとグリーンの方を見たら確かにまだ図鑑とポケモンとを見てる。

なんだか…だんだんいらいらしてきた。

協力すればすぐさま解決する問題に意地を張って、自分の力だけで解決しようとする二人に。
私はリュウイから下りて背後から駆け足で二人に近づいた。

そして力いっぱいぶん殴った。

「うぐっ!?」
「いって〜〜!!…ってホワイト!?何すんだよ!」
「そういうあんたたちはなにしてんのよ!?」
「なにってこのバリヤーを…」
「二人が協力すればすぐに入れるのになんで協力しようとしないの!
町の皆の命がかかってるんだよ!?今は意地張ってる場合じゃないんだよ!」

協力しようよと二人に訴える。
二人は少し気まずそうに互いに目を合わせなかったが

「オイ…レッド。
敵の位置…教えてやってもいいぜ」
「中に入って敵と戦えるのはオレのピカだけだぞ!」
「……ゴルダック!」

ゴルダックはぐっと手に力を込める。

「ゴルダックが読み取った波長をピカチュウに送る」
「そこから先は任せとけ!グリーン!」

とんとん拍子に言葉を交わす二人。そして、

「「いまだ!!十万ボルトオォォ!!」」

シン…とした空気が流れる。
数秒遅れて、見えないが目の前から何かが無くなる感覚がした。おそらくバリヤーが消えたのだろう。

「…やった!バリアが無くなった!…って、オイオーイ!待てよ!!」

バリアが消えたと分かると一目散に街に走るグリーンとホワイト。
二人に遅れてレッドも続く。



人気の少ない街を疾走する三人レッド、グリーン、ホワイトは街でも一番大きなビルに着いた。

「…!このビル…」
「行くぞ!」
「おいグリーン!待てよ!!」
「待ってグリーン!ここって…グリーン!」
「一人で突破したような顔するなよ〜〜!」

レッドの叫びもまったく耳に入らない様子のグリーンからは何一つ言葉が返ってこない。

先頭を行くグリーンにつられて三階まで来た私たち。
何度かグリーンを呼ぶが聞いてはくれなかった。
敵が全く見当たらず辺りを見るグリーンにようやく話が出来そうだ。

「グリーンってば!」
「…なんだ」
「なんでここに入ったの?」
「なんか…立派な建物だな。本当に敵のアジトなのか?」
「ゴルダックがバリヤードの位置を最初に発見した時に居たのがこのビルの前だ。
四方を通路に囲まれた街の中央のビル、間違いない!」

私たちの疑問によどみなく応えるグリーン。
だが…、

「お、おかしいよ!ここがロケット団のアジトだなんて!」
「確かにここだ!間違いない!」
「なあホワイト、なんで間違いって思うんだ?」

「だってここ…シルフカンパニーは…リュウおじ様の経営する会社だよ!!」

「ええ!?」
「リュウさんが…どういうことだ?」

そう、ここシルフカンパニーは多忙なグレイのお父様、リュウおじ様が社長として働く会社なのだ。
レッドが驚くのは教えたことがなかったからだ。聞いたら答えたけどレッドってどんな仕事をしてるのか興味がなかったからか、全く聞いてこなかった。
聞いてもいないのに応えることって出来ないからね。

「おじ様が経営する会社がロケット団のアジトってことは…おじ様がロケット団ってことでしょ!?
そんなことあるわけない!」
「ああ、おじさんがロケット団なはずがない!でも、それじゃあおじさんは……うわああああ!!」
「!!レッド!」

その瞬間、レッドが立っている床が落とし穴の様に開きレッドが落ちる。
グリーンが手を伸ばそうとするがそれを阻むようにグリーンの足元に手裏剣が刺さる。

ん?手裏剣…前にもこんな感じのがあったような…。

「ストライク!切り裂く!」

グサっという音が部屋に響く。
一瞬の出来事だった。
人影が突然現れたと思ったらその人の肩めがけてグリーンのストライクは躊躇なく刃を振るう。

「わあああ!?肩が!?刺さってるよグリーン!?」

「素早いな…。敵と見るやいなやの先制攻撃…ククク」

ストライクの刃が刺さっている肩には肩当てを模したベトベターだ。ベトベターはそのままストライクにまとわりつきストライクの動きを封じた。

「お前は、シオンタウンポケモンタワーの…」

グリーンは次のポケモンを出そうと腰に手を伸ばした瞬間床からベトベターの体の一部が現れ私たちを捕えた。

「しまっ…」
「うっく…」
「あの時の礼だ。もうボールには触らせん」
「ん…んん」
「グリーン!?」

肩までベトベターに浸かり動けない私たち。
それだけでは終わらずベトベターがグリーンの口をふさぐ。

「ポケモントレーナーも、ポケモンを取りだせなければどうということはない。
苦しいか、ん?」

「こ、んのお…」

動けない私はただキョウを睨むことしかできなかった。

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シルフカンパニースタートー!!
一話でこんなところじゃあ先が思いやられますなあ。
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