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□寂しいんだろ、
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ねえ、孝介。私以外の女の子と楽しそうに話さないで。
なんて胸に抱いたこのもやもやとした気持ちは口から出せなかった。
だって、重い奴とか、束縛する奴だとかそんなこと思ってもらいたくないんだもん。
孝介が楽しそうに話しているのをみるとね、私は必要ないのかな、いなくても大丈夫なんじゃないかな、って不安になるよ。
ホントは、私のこともう好きじゃなくなっちゃった?
自分でも考えたくない考えに走る。あー、私のネガティブ!!
私は自分がこんなドロドロした暗い気持ちになりたくなくて、屋上へ向かって走り出した。
屋上につくと、今日は私の気持ちとは逆にとっても綺麗に空が晴れ渡っていた。
そんな空をみて、私の心は少しだけ落ち着く。それでもやっぱりズシリと胸に残ったものがある。
「私、寂しいのかな・・・・?ヤキモチ妬いてるのかな・・・。嫌だな。こんなの。」
やっぱり誰だってこんな気持ちは嫌だと思う。
少しそうぽつりと言った私の言葉は大きな青空に何事もなかったように溶けていってしまうからそれも悲しい。
へへ、と涙をためて少し無理矢理笑ってみる。ああ、今の私はちゃんと笑えているだろうか。
孝介に会ったときにちゃんと笑えるだろうか。
「ねえ、孝介。嫌いになっちゃったの?私はもう好きじゃない?私はね、私は今も孝介の事好きだよ。」
「ばーか、俺がお前のこと嫌いになんてなるわけねーだろ。」
「!!!孝介・・・?!」
また青空に溶けていくと思っていた言葉はちゃんと相手に行き届いていたようだ。
私の言葉に、いつここに来たのだろう。私が気づいていないだけかもしれないが、孝介が私の後ろに立っていた。
「俺がお前のこといつ好きじゃなくなったって言ったんだよ。嫌いになんてなるわけねーだろうが!んなこと考えてんなよ!」
そういった孝介は、私の頭をぐしゃぐしゃっと撫でる。
「・・・、ゴメンな。俺が今こんな寂しい思いさせてんだよな。ゴメン。」
「・・・ん。」
「俺、もうぜってー寂しい思いさせないから。」
「!!!!」
孝介は私を抱きしめてくれた。
胸にあった重みは消えて、青空と同じくらいに晴れ渡った。
そして太陽が暖かく照り、優しく包んでくれた。
真剣な孝介にまた一つ恋をしたのは私だけの秘密。
寂しいんだろ、
(今はもう、寂しくないよ。孝介が居てくれるから。)
((あー、やっぱお前のことホントに好きだ。))
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見ているだけの日々にさよなら。
(20110225)