聖華の夜に

□約束〜水月の想い〜
1ページ/1ページ

水月「・・・聖華・・・」
水月がつぶやいた
来夢「へ?なにかいった?」
水「ううん、別に」
水月は石を見つめたまま答えた。
その石は「みかん色」に光っている。
来「あ、きれいだねその石。どこで拾ったん?」
水月の友達、来夢が石を眺めながらきく。
水「これ?友達からもらったんだ。小さいころにね」
来「へ〜、で、その友達は今どこに?」
水「外国だよ」
水月は少し微笑んでいった。
来「遠っ!!」
水「でしょ、そして今日はその友達と別れた日なんだ」
来「へぇ、じゃぁ今日が引越した日?」
水「そうだよ」
またニコッとしていう。
キーンコーン
来「あ、予鈴じゃん!!帰るね、また明日!!」
来夢は急いだ様子で教室を出て行った。
水「またね〜」
水月は手を振った。
そして、悲しい顔をした。
―――嘘、ついちゃった。外国にも居ないし、どこに引っ越したわけでもない。
   ただ、分かれた日は事実、あってほしくない事実だから・・・
水月は鞄を手に取り教室をでた。石を片手に握り締めて
水「今日が10回目か・・・聖華の命日・・・」
ふと小声でいった。
外はもう暗い。ずいぶん来夢と話をしていたようだ。
霧がかかっていて、少し肌寒い夜。今日はなぜか少し暖かかった。
その理由は空にあった。水月は空を見上げた。
そこには星がひとつもなく、ただ霧の色に染まる白い三日月がうかんでいる。
水「白い月・・・・聖華に会って、別れたのもこんな夜だったな・・・」
水月は突然悲しくなり、目から涙を流した。
『水月・・・・』

聞こえるよ
10年経った今でも
笑顔で私の名前を呼ぶ聖華の声が・・・

続く

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ