聖華の夜に

□約束〜出会い〜
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「え〜ん・・・ヒクッ・・・」
ある公園のブランコに、小さな少女が泣いていた。少し茶髪の長い髪を2つに結んでいる。
もうあたりは暗くなっているのに、少女は一人でブランコにいう。
「・・・お母さんの・・・バカァ」
また小さな声でつぶやいた。そんな少女を霧の色でそまった月が照らす。
「どうしたの〜?」
どこからか声がした。
少女が顔をあげると、そこには少女と同い年くらいのもう一人の少女が立っていた。
肩に付いた短いオレンジ色の髪が月に照らされ光っている。
「ヒック・・・だ、だぁれ?」
少女が聞く。
「私?私はねぇ、せいかっていうの」
オレンジ色の髪をした少女が笑顔でいう。
「せい・・・か?」
「そう、せいかだよぉ。
 あなたはどうしたのぉ?」
せいかはしゃがんできいた。
「お母さんと喧嘩したの。もうお家にかえれないよぉ、ヒック」
そういうとまた少女は泣きだした。
「へぇ、だから一人でいたんだね。こんな夜に。
 お名前は?」
せいかがきく。
「え、ひぐち・・・みずき」
「みずきか〜。「水」の「月」。素敵な名前だね〜」
せいかがニコニコしていった。
「うん、私もこの名前好き!お母さんがつけてくれたんだよ!」
みずきもすこし笑って答えた。
「みずきはお母さん好き〜?」
「うん、大好き!」
「じゃぁ、仲直りしにいこ!」
せいかがみずきの手をとり、引っ張った。
「え、でも〜」
みずきはブランコから動こうとしない。
「大丈夫だよ」
「勇気がでないよ〜、もうず〜っとここにいるし・・・」
「じゃぁ、私が勇気がでるおまじないしてあげる」「えっ」
そういうと、せいかはみずきの手を両手で包み込むようにもった。
「みずきちゃんがお母さんと仲直りできる、勇気がでますように・・・」
せいかは目をつむり静かにいった。
みずきはそんなせいかをみて、すこし温かくなった。そして、勇気がでてきたような気がした。
すると、せいかはパチッと目を開いた。
「どうみずきちゃん。勇気でた?」
「うん、ありがとう、せいかちゃん」
「せいかでいいよ、みずきちゃん」
せいかはニコニコしていった。
もうみずきの目には涙がみえない。
「じゃぁいこ!みずきちゃん」
「うん!あ、せいかはいくつ〜?」
「私は4歳だよ。みずきちゃんは〜?」
「私も4歳!」
「じゃぁ同い年だね〜」
「うん」
2人はニコニコしながらあるいていく。そして、あっというまにみずきの家の前まできた。
「じゃぁね、みずきちゃん」
「じゃぁね、また明日会お!そしたらまた一緒に遊ぼうね」
「うん!」
2人はさよならをいい、別れた

続く

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