魔法少女リリカルなのは〜風を纏う者T〜

□〜再会〜
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とりあえず喧嘩をやめて食事を取ることにした二人。淡々と料理を作っていく和人だが、その体には所々に傷が見えた。


そして数十分後、出来た料理を食卓に並べて二人で食べ始める。
食べながら、和人は祖父であるその人、霧島 和臣(きりしま かずおみ)に話し掛ける。


「それで?じいさんはまた何の用があって帰ってきたんだよ?」


目の前にいる人物、和臣は幼くして両親を亡くした和人の面倒を見てくれていた唯一の肉親であった。
しかし、和人が小学三年生になると、定期的な口座への振込みだけして自らは修業の旅などと言って放浪するようになり、家にはほとんど帰ってこなくなっていた。


和人の質問に進めていた箸を置き、和臣は話しだした。


「和人、お前さんこの前、丸々一週間学校を無断で休んだそうだな?」


和臣のその言葉にビクッと心臓が跳ね上がる和人。


「儂の言葉、まさか忘れたわけではあるまいな?和人」


なおも凄味のある顔で和人を見る和臣。
和人はそんな威圧感に圧されながらも口を開く。


「いや……、じいさんの言葉を忘れてはいないさ。ただ……」


和人が言葉を続けようとすると、和臣が言葉を切る。


「言い訳は聞かん!『どんなことがあろうと怪我や病気以外で学校を休むべからず』。この約束が破られた以上、お前には大学卒業まで勉学に励んでもらう」


和臣の厳しい言葉に和人は反論する。


「ちょっと待ってくれじいさん!少しはオレの話を聞いてくれ!」


「ほう?儂が納得する理由があるというのか?なら、話してみろ」


あくまでも落ち着いて、腕を組んで和人を見据える和臣。


「理由は……自分の将来のために必要な勉強だったから……。それは学校では出来ないことだったから!」


和人は魔法については触れずに、和臣に力強く言い放った。


「……ならば、その勉強とやらが何であるか話すべきだとは思わんか?」


和臣の正論に何も言えなくなる和人。しかし、その瞳には納得してもらいたいという強い意志が込められていた。それに気付かないほど和臣も鈍くないため、和人にある提案をする。


「……ならば明日、古い知人の剣術道場に訪問する事になっている。そこのお弟子さんと試合をしてお前が勝てば、今回の件は水に流そうではないか」


「本当だな、じいさん?約束したからな!」


そう言って喜ぶ和人。


「ん?待てよじいさん。確か『剣術道場』って言ったか?」


喜ぶ和人だったが、その言葉が引っ掛かり確かめる。


「そう言ったが、それがどうしたというのだ?
相手が誰であれ戦えるのが『柳流柔術』の利点。得物の有る無しは関係なかろう?」


「いや、それはそうだけどさ……。ああぁ!わかったよ、勝てばいいんだろ!勝てば!」


反論しようとした和人だったが、せっかくのチャンスを棒に振るわけにはいかないため、開き直った。


「うむ、わかればよい。さあ、ご飯が冷めてしまう。ぱっぱと食べてしまうぞ」


和臣はそれで締めて再びご飯を食べ始めた。和人もそれに続いて食べ始めた。



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