魔法少女リリカルなのは〜風を纏う者T〜
□〜決意〜
3ページ/4ページ
一時間後、準備を整えた和人は和臣に見送られ、アースラの待つ場所へ向かった。
そこに着くと、クロノがすでに出迎えのため待機していた。
「お待たせしました。霧島 和人、本日よりお世話になります」
クロノにしっかりと挨拶をする和人。そんな和人を見たクロノは、少し引き気味に問い掛ける。
「ど、どうしたんだ和人。やたらと傷が目立つようだが……」
「いや、まあ色々あってね。気にしないでくれ」
クロノの問い掛けに曖昧に答える和人。
先程までの和臣とのガチバトルを思い出し、身体の震えが止まらなくなる和人。それを見たクロノは察したのか、一言「そうか」と言うだけで深くは追求してこなかった。
「それで、アースラにはまだ乗らないのか?」
てっきり自分一人を待ってるものだと思っていた和人は、すぐにアースラへ行こうとしないクロノに疑問を持った。
「ああ、実はあの子達もジュエルシードの回収の手伝いをすることになってね。もうすぐ来ると思うから待ってくれ」
どうやらなのは達は自ら捜査協力を願い出たようで、リンディ提督がそれを了承したらしい。
そして待つこと約十分。二人の前になのはとユーノが到着した。
着くや否や、なのはは和人の傷だらけの姿に驚き尋ねてきたが、以下同文。省くことにしよう。
アースラへと乗り込んだ和人達は、各々使用する個室へ案内されて荷物を置き、作戦会議室へと足を運ぶ。
そこでリンディにより三人の自己紹介がされ、今後の捜査行動の確認と注意事項が話された。
会議も終わり、解散となる中、和人はクロノに引き止められ、管制室に連れてこられていた。
「何ですか?用があるなら手早くお願いします。今日は色々あって疲れてるんですよ」
ブツブツと愚痴を言う和人を気にせず、クロノは話しだす。
「本来であれば君に渡すにはまだ早いが、事が事だ。そんなことも言ってはいられなくなった」
話の見えない和人は首を傾げる。そんな和人を無視して続ける。
「これからジュエルシードを回収するにあたって、君には現場で動いてもらわなければいけないわけだが……、エイミィ!『例のもの』を持ってきてくれ」
「はいは〜い。今持って行きますよ〜っと」
そう言って席から立ち、こちらへ歩いてくるエイミィ。
そして、クロノの隣まで来ると、何かを渡す。
「それでだ、現状の力不足は否めないがその手助けとして君にこのデバイスを渡す」
そう言ってエイミィから受け取った物を和人に差し出すクロノ。それは緑色の宝石が付いたブレスレットだった。
「これは本来、君が魔導師として管理局に入った時にと思って本局に依頼して作らせた物だ。
名称はまだ付けてないから君が名付けてあげろ」
「うふふ〜、クロノ君ったらねえ、和人君は必ず管理局に入局するって言い張って本局に急いで作らせてたんだから」
「こ、こらエイミィ!それは言わない約束だっただろうが!」
エイミィの発言に顔を真っ赤にして怒るクロノ。
エイミィは怒るクロノから笑いながら逃げ回る。
「オレの……デバイス……か……」
クロノが自分のために作ってくれたデバイスに心底喜ぶ和人。
「ありがとうございます!クロノ、エイミィさん!」
「どういたしまして。と言っても私はデバイスの製作依頼を出しただけなんだけどね〜」
「ちょっと待て和人。何でエイミィはさん付けで僕は呼び捨てなんだ!」
「いや、なんとなく。それよりこいつの起動テストしたいんで付き合ってくださいよ、『クロノさん』?」
皮肉を込めてクロノを誘う和人。
「今日は疲れてるなんて言っていたのはどこの誰だ?」
「そんなこと誰か言ってたっけ?そんなことより早くトレーニングルームに行こうぜ、クロノ」
今日一番のテンションでクロノに迫る和人。それに負けて渋々付き合うことにしたクロノ。
.