魔法少女リリカルなのは〜風を纏う者U〜

□〜交渉〜
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「和人君の合図通りに撃ったけど、あれで大丈夫やったんかな?どうやろ、リイン?」


『和人さんのことですからうまくやってますよ〜』


和人達のいる場所からかなり離れた地点の空に浮かびながらそんな会話をしたのは、はやてとリインで、はやてはユニゾン状態のリインとそう話すと、


「せやね。とりあえず和人君達と合流しよか」


『はいです』


はやてはリインとそこまで話すと、移動を始めた。


実は和人は事前に三峰将が交換交渉を持ちかけてくると踏んで、あえて合流せずにはやてを待機させていたのである。
そしてはやての言う合図と言うのが、三峰将も見たあの魔法弾である。
実はあの魔法弾は、和人の居場所を教えるのと同時にはやてに攻撃するタイミングを伝えていたのである。








数分後、無事に和人達と合流したはやては、リインとのユニゾンを解いて近寄りはやては和人に近寄っていき、リインはティアナの怪我を治療し始めた。


「八神二佐にリイン曹長まで来ていたなんて驚きました。最初和人さんから聞いた時は冗談かと思ったくらいです」


「はやてちゃんは和人さんに夢中ですからね〜。和人さんが危ない目にあってるとわかったら飛んできたですよ〜」

(本当は違いますけど、はやてちゃんの建前上こう言っておいた方が良さそうですしね〜)


リインはティアナの傷を治しながらそんな風に説明し、ティアナもそれに納得していたが、本当の理由は言えないリインだった。


「和人君も結構無茶な要求するねんな。『魔法弾の発光が止んだら攻撃してくれ』なんて、リインがおらんかったら座標がズレて外れてたかもしれへんよ?」


「はやてとリインを信頼してのことだよ。それに結果的にうまくいったんだ。良しとしようぜ」


笑って言う和人に釣られてはやても笑みがこぼれてしまう。


「それと初めましてやね。私は八神はやてって言います。よろしくな、メアリスちゃん」


はやては和人との会話の後、和人の服にしがみつくメアリスに目線をあわせて挨拶をした。
メアリスはそれに少し戸惑いながらも一言「よろしく」と言って和人の後ろに隠れてしまった。
その反応に頭を軽く掻いたはやては苦笑いを浮かべ立ち上がり再び和人と会話をする。


「とりあえず足止め程度に威力も範囲も抑えて放った攻撃や。遅かれ早かれまた衝突することになる。どないするん?」


はやての質問を聞いたティアナとリインも和人の返答を聞くため顔を向ける。


「……はやてが戦線に加わったおかげで戦力差は大分埋まった。ならコソコソ逃げ回る必要はないさ。奴らを逮捕して堂々と管理局に戻ってやるさ」


それを聞いたはやて達は笑顔になる。


「ええ答えや。そんな和人君に耳寄り情報が一つあるよ。今ここにフェイトちゃんも向かってくれてる。フェイトちゃんが合流してくれたら百人力や」


「あはは……八神二佐とリイン曹長、それにフェイトさんまで合流なんて、豪華過ぎじゃありません?」


「今は素直に喜ぶべき状況だな。それにフェイトが合流すればメアリスの護衛に一人付けてもお釣りがくる。つまり戦いに集中できるってことだ」


「向こうは空戦もこなせるとなるとメアリスちゃんの護衛はティアナに任せた方が良さそうやね」


「フェイトが合流するまではオレがメアリスを守る。とりあえずはこの方針で行く。みんないいな?」


和人の掛け声に返事を返す三人。
そこではやてが攻撃を仕掛けた地点から魔力反応が動きだした。
それを察知した一同はすぐに迎撃に備えて臨戦態勢に入る。
その数十秒後、和人達の居場所を見つけた三峰将がやってきて、和人達の前に降り立った。


「まさか救援がいるとは予想外だったよ。しかも概算でオーバーSランク級ときた。全く面倒極まりない」


フラムははやての姿を見るなりそんなことを言うと、目付きを鋭くして続けて言葉を放つ。


「こうなった以上、力ずくで奪わせてもらう。ウイン、ボルト、『五の陣・砕』だ!」


フラムの掛け声に反応して二人が移動をし、フラム、ウイン、ボルトの縦列編隊になった。
それを見たはやてはリインとユニゾンして空に上がり詠唱を始め、ティアナはまだ癒えきっていない身体に鞭を打って、はやての詠唱完了までの時間を稼ごうと動き、和人はメアリスを抱き抱えながら射撃魔法で先頭に立つフラムを狙い撃った。

フラムはウインを援護を受けながら一気に和人へと接近していく。その間にボルトも大威力魔法の準備を進める。

和人はフラムの接近を許すものの、持ち前の技術力でメアリスを奪おうとするフラムから紙一重で躱しながら反撃を気を伺う。
しかし突然フラムが和人から距離を離し後退した。
疑問に思った和人だったが、その後退の意味をすぐに理解した。


「サンダーボルト!!」


ボルトのそんな掛け声とともに、和人達の頭上から特大の落雷が落ちてきた。それはティアナに止めを刺した時の倍以上の威力があった。
それによりはやては詠唱を中断せざるをえなくなり防御に回り、和人とティアナも防御行動に回った。


「スラッシュウインド!」


落雷が納まったと思うと、今度はウインが和人達に無数の風の刃を放ち反撃の余地を与えない。


「エクスプロード!!」


風の刃が止むと、今度はフラムが和人達の頭上から炎の塊を落とし爆発させる。その爆発は周囲の木々を焼き払い、和人達の姿はその爆炎と煙で見えなくなってしまった。



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