魔法少女リリカルなのは〜風を纏う者U〜

□〜協力〜
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翌日の昼時、この日は一般的に言うところの休日にあたる。
その休日を利用してなのは達は聖王教会へと足を運んでいた。その中には昨日の夜に突然有休をとらされた和人の姿もあった。

なのは達は聖王教会の中へと入ろうとしたが、和人は中へ入ることを拒んで中庭へと移動していった。
その理由としては、なのは達についていけばグレイルの眠る部屋に辿り着いてしまうためである。ただし、今回はそれだけではないのだが、それを知らないなのは達は和人の行動を特に咎めはしなかった。


そんなわけで、三人でグレイルの眠る部屋にやってきたなのは達。
なのはは部屋の窓を開けて換気を行い、フェイトとヴィヴィオはグレイルの横に腰掛けると、被っている布団を退けて何やら始めだした。


「フェイトママ、グレイルパパの身体、少し細くなってる」


「うん、そうだね。ずっと寝たきりだと筋肉も衰えてきちゃうの。だからママ達がこうして時々身体を動かしてあげないといけないの」


フェイトはヴィヴィオにそう言いながらグレイルの腕や足の関節を動かしていく。ヴィヴィオもそれを真似てフェイトとは反対の腕や足を動かしていく。


「グレイルパパ、何時になったら起きるのかな?」


作業をしながらヴィヴィオがそんなことをもらすと、フェイトとなのはは少しだけ暗い顔をして見せるが、すぐに笑顔を作り答える。


「ヴィヴィオがと〜ってもいい子にしてれば、グレイルパパはすぐに目を覚ますよ」


フェイトのその言葉を聞いたヴィヴィオは、うれしそうに笑って作業を再開する。それを見たフェイトとなのはも顔を合わせて笑い合う。

そしてグレイルの身体をあらかた動かし終えた二人は、またグレイルを寝かせると布団をかぶせた。


「さてと、フェイトママはもう少しここにいるから、ヴィヴィオはなのはママと一緒にカリムさんのところに行っておいで。きっと嬉しいことがあるから」


フェイトはヴィヴィオにそんなことを言うと、ヴィヴィオは頭に?マークを浮かべて首を傾げる。そんなヴィヴィオの手を取ってなのははカリムのいる部屋へと移動を始め部屋から出ていった。
一人残ったフェイトは、眠り続けるグレイルを見ながら、最近あった出来事や世間話を楽しそうに話し始めた。





なのはに連れられてカリムの部屋の前にやってきたヴィヴィオは、なのはがノックをして部屋に入るのに続いて中に入る。中には椅子に座りながら紅茶をすするカリムと、その横に立つシスターシャッハがこちらに顔を向け微笑みかけてきた。


「お二人ともよくいらっしゃいました」


「カリムさんもシスターシャッハもお元気そうで何よりです」


「こっ、こんにちは、カリムさん、シャッハさん」


ヴィヴィオはなのはに続いて慌てて挨拶を返す。カリムとシャッハはそんな二人を近くへ招き席に座らせ、シャッハは紅茶を差し出す。なのはとヴィヴィオはシャッハに一言お礼を言うと、差し出された紅茶をすすり話を切り出す。


「それで和人君が保護した子はどこにいるのでしょうか?」


なのはがカリムにそんな質問をすると、ヴィヴィオは首を傾げてなのはの顔を覗き込む。そんな二人にカリムは落ち着いた調子で返す。


「実は今ここにいないんです」


「えっ?それはどういうことですか?」


「あの子、和人さんが教会に来てるって知ったら飛び出していってしまって。ですから今頃和人さんの事を探しているはずですよ」


なのはは自分の考えていた事態とは違う答えに安堵の息を吐く。


「シャッハ。ヴィヴィオを連れてあの子を探してきてくれる?」


カリムはシャッハにそう言うと、シャッハはヴィヴィオを連れて部屋を出ていこうとする。なのはも一緒に行こうとしたが、カリムはそれを引き止めてシャッハとヴィヴィオだけで行かせた。そして二人が部屋から出ていったのを確認したカリムは、なのはに話を持ちかける。


「実はなのはさんにお頼みしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」


「私に出来ることであれば喜んで」


それを聞いたカリムはにっこり笑顔を浮かべて話をしだした。









〜教会内の中庭〜


ここに備え付けてある噴水近くのベンチに腰を下ろして空を眺めていた和人。
そんな和人にパタパタという擬音が似合う足並みで近付く一人の少女がいた。
少女は和人の前まで来ると、何を言うでもなく隣に座ってただただ和人を眺めていた。
それに気付いた和人は空から少女へと視線を移すと、その人物に驚く。


「うおっ!メアリス!?何してんだよ?」


驚く和人に隣に座るメアリスは、


「……カリムさんが……和人さんが来てるって言ってたから……探してた」


視線を下に向けながらそう答えるメアリス。しかしその声質にはどことなくうれしさが混ざっていた。


「オレを探してた?何でまたそんなことを……」


和人は自分を探していたことに疑問を感じたが、どことなく嬉しそうな顔をしてるメアリスを見るとどうでも良くなり、メアリスの頭を優しく撫でてあげた。


「それでメアリスはここで暮らしていけそうか?」


しばらくして和人は頭から手を離してメアリスに質問をすると、


「……カリムさんもシャッハさんも優しい……です。食べ物も……食べたことない物ばかりで美味しい」


それを聞いた和人はうれしそうにするが、当のメアリスはそこから先を言いあぐねていた。
そんな二人にまた近付いてくる人物が二人いた。二人は和人達を見つけると中庭へ入りゆっくり歩み寄っていった。
その二人に気付いた和人は、二人に顔を向けると言葉を掛ける。


「ヴィヴィオ、シャッハさん。どうしたんですか?」


「いえ、あなたを探しに行ったメアリスを探していたんですよ。ヴィヴィオにも紹介する予定でしたから丁度良かったですね」


シャッハはそう言って和人の近くまで来ると、ヴィヴィオにメアリスを紹介した。



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