魔法少女リリカルなのはViVid〜時を越える願い〜
□〜サイレント・ブリーズ〜
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暖かな朝の陽射しが差し込むある部屋の一室。そこでは二人の少女が仲良く話をしながら着替えをしていた。
「ヴィヴィオ〜!メアちゃ〜ん!朝ごはんできたよ〜!」
そんな二人にリビングから声をかけたのは、ここ高町家の主、高町なのはであった。
呼ばれた二人の一人は、なのはの一人娘である高町ヴィヴィオ。そしてもう一人は艶やかな水色の髪で、後ろ髪をオレンジのリボンでまとめた灰色の瞳をした少女。この物語の主人公である霧島メアリスだ。
二人はなのはの呼び掛けに応えると、着替えていた制服をパパッと着てリビングに顔を出していった。
「ヴィヴィオ達は今日は始業式だけでしょ?」
朝ごはんを食べ終えて身支度を済ませたメアリス達は、家の玄関を出てからすぐになのはにそんな質問をされて、「そだよ〜」などと軽い感じで返す。
「今日はママ『達』もちょっと早めに帰ってこられるから、晩ごはんは4年生進級のお祝いモードにしよっか?」
「いいねー!」
その話にヴィヴィオはテンションを上げたが、
「ママ『達』ですか?」
メアリスはその複数形が気になったのか、なのはに問い掛けると、
「そっ。今日は和人君も帰ってこれるみたいだからね」
「えっ!?でも私はそんな話はパパから聞いてないですよ?」
それを聞いたなのはは、「あっ!」とまずいことを言ったような声を出す。
「あはは、実は内緒にしててって和人君に言われてたんだった」
言いつつなのはは乾いた笑いをする。
「ま、まあそれはそれとして……」
なのはは仕切り直して少し屈むと両手の手の平を前に向ける。それを見た二人はなのはの出した手の平に自分の手の平をポンと合わせて、
「「「いってきまーす!」」」
それでなのはと別れた二人は、自分達の通うSt.ヒルデ魔法学院へと通学していき、なのはも仕事に行くため歩きだした。
「危なかった〜。もうちょっとで『あのこと』も話すところだったよ。私、隠し事って苦手だなぁ」
なのはは歩きながら数日前に和人から話された内容を思い出しながら、そんなことを呟いていた。
「まあ、サプライズは一つ減っちゃったけど、きっとヴィヴィオ達は学校に行ったらビックリするだろうな〜」
そこでポジティブに考えたなのはは、これから学校でビックリするであろうヴィヴィオ達の顔を浮かべながら歩いていった。
〜St.ヒルデ魔法学院・初等科・中等科棟〜
ここまで仲良く話をしながらやってきたメアリスとヴィヴィオ。その校舎前で二人の少女に挨拶をされた。
「ごきげんよう、ヴィヴィオ、メアリス」
「おはよー」
「コロナ!リオ!」
「ごきげんよう、二人とも」
メアリスとヴィヴィオは二人の友人の姿を確認すると近寄っていき、
「クラス分けもう見た?」
「見た見た!」
「四人とも同じクラス!」
「「「「いえーい!」」」」
そこで四人は仲良くハイタッチをすると、周りからクスクスと笑われてしまう。恥ずかしがりながらも四人は新しいクラスの教室へと足を運んでいった。
「そういえば、今年の選択授業の応用魔導学。講師に管理局の優秀な魔導師さんが呼ばれてるんだって!」
教室に入ってすぐにリオがそんな話を三人にすると、
「管理局の魔導師か〜。もしかしてヴィヴィオのお母さんだったりして!」
「それはないよ〜。なのはママ隠し事は苦手だからすぐわかるもん」
コロナがそんな予測をするが、ヴィヴィオはそれを一刀両断で切り捨てた。
「そっか〜。じゃあメアリスのお父さんとか?」
「どうかな?パパはお仕事忙しそうだし、そんな話があったら私が知らないわけないし……」
「う〜ん。考えてもわからないし、見てからのお楽しみってことにしよ?」
ヴィヴィオは三人にそう言うと、丁度予鈴が鳴って始業式のために講堂へと移動していった。
「選択授業で応用魔導学を選択した皆さんは、これから授業も難しくなってくると思いますが……」
講堂で話をする先生に耳を傾けながら、メアリス達は先程の話の講師で誰が来るのかワクワクしていた。
「え〜、それでは今年一年間、応用魔導学において『防御・捕縛』の講師に来て下さることになった方を紹介します。どうぞ壇上へ」
先生が教壇を譲って退くと、そのあと壇上に一人の執務官制服を着た男性局員が登って挨拶をする。
「今年一年間、皆さんに『防御・捕縛』の応用魔導学を教えることになった霧島和人です。よろしく」
和人は言った後頭を軽く下げると、そのあと女生徒から黄色い声が上がってきた。しかし和人を見たメアリス達は、驚きのあまり声を失っていた。
その後、始業式が終わると和人はさっそく女生徒達に囲まれてしまい、質問攻めに会う。
しかし和人は近くにメアリス達の姿を発見すると申し訳なさそうに女生徒達から離れてメアリス達に近寄っていった。
「どうだった?四人ともビックリしたか?」
和人は笑いながら四人に質問すると、
「ビックリし過ぎて言葉が出なかったです!」
ヴィヴィオがそんな感想を述べると、コロナとリオもそれに頷いた。
「それは秘密にしてた甲斐があるな。それでメアリスはどうだった?」
「……嬉しかった!」
そう言ってメアリスは和人に抱き付いた。突然のことでビックリした和人だったがなんとか受けとめて話す。
「今年一年は執務官の仕事を休むことになってるから、これから毎日一緒にいられるな」
「うん!パパ大好き!」
それを聞いた和人はメアリスの頭を撫でてやってから、用事があるとかで先生方と行ってしまった。
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