魔法少女リリカルなのはViVid〜時を越える願い〜
□〜ストライク・アーツ〜
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〜聖王教会本部〜
「いよーっス!オットー、ディード!」
「久し振り」
昼下がりにここへやってきたウェンディとディエチは、ノーヴェとヴィヴィオ、チンクと別れて妹であるオットーとディードの双子に顔を見せに来た。
「ウェンディ姉様。ディエチ姉様」
「二人ともごぶさた」
その二人はそんな挨拶を返すと、二人に席を勧めて話をする。
「他の皆さんは?」
「チンク姉は騎士カリムとシスターシャッハんとこ」
「ヴィヴィオとノーヴェはイクスとグレイルさんのお見舞い」
「二人とも元気っスか?」
ウェンディのその問い掛けにお茶を淹れながらオットーが答える。
「健康状態には異常無し。静かにお休みだよ」
それに続いてディードも言葉を紡ぐ。
「陛下やスバルさん、フェイトさんもよくお見舞いに来て下さいますし、きっと楽しい夢を見ておいでなのかと」
ディードの言葉に笑顔を浮かべるウェンディとディエチ。
〜教会内 カリム・グラシア執務室〜
「お話って言うのは……例の傷害事件のことよね?」
ここへ足を運んだチンクは、昨日ギンガから聞いた話をしていた。
「ええ。我ながら要らぬ心配かとは思ったのですが」
チンクは自分で言いながら余計な心配だと思っていた。
「件の格闘戦技の実力者を狙う襲撃犯。彼女が自称している『覇王』イングヴァルトと言えば……」
そこでチンクはギンガからもらった襲撃犯の映像を映しだす。
「ベルカ戦乱期……諸王時代の王の名ですね」
カリムがそう続けると、チンクも頷いて話を続ける。
「時代は異なりますが、こちらで保護されているイクスヴェリア陛下や、ヴィヴィオのオリジナルである『最後のゆりかごの聖王』オリヴィエ聖王女殿下とも無縁ではありません。それに……」
「グレイルさんのオリジナルである『剣神』リネオスとも縁のある人物ですね」
シャッハはチンクにそう言うと、カリムが話を進める。
「ヴィヴィオやイクス、グレイルさんに危険が及ぶ可能性が?」
「無くはないかと。聖王家のオリヴィエ聖王女。シュトゥラの覇王イングヴァルト。ガレアの冥王イクスヴェリア。いずれも優れた『王』達でしたし、リネオス・ヴァルトも数々の武勇伝を持つ人物ですから。ああ!もちろんかつての王達と今のヴィヴィオとグレイルさんは別人ではあるのですが」
「ええ」
「それを理解しない者もいるという事ですよね。ただグレイルさんの正体は公にはされていないので心配はないかと」
シャッハはグレイルに危険が及ぶ可能性がないこともついでに言って続ける。
「とはいえ、『覇王イングヴァルト』は物語にも現われる英傑です。単なる喧嘩好きが気分で名乗っているだけという可能性も大きいですよ」
「でも犯人が捕まるまでイクスとグレイルさんの警戒は強化するわ。ヴィヴィオについては……」
「それはこちらで私と妹達がそれとなく」
それでとりあえずの話を終えたチンク達は、ゆっくりお茶を楽しみ始めた。
「みんなごきげんよう〜」
イクスとグレイルのお見舞いを終えたヴィヴィオとノーヴェは、ウェンディ達に合流した。
「ああ、これは陛下」
「陛下。イクス様とグレイル様のお見舞いはもう?」
「うん、ディード。いっぱい話したよ」
「あたしらは先に戻って和人さんとメアリス達に合流するけど、おまえらは?」
ノーヴェはディードと話をするヴィヴィオを余所にウェンディとディエチに話し掛ける。
「あー、あたしも」
「私はもう少し」
ウェンディはそれについてくることになり、ディエチはまだここにいると答えた。
そして歩きだそうとしたヴィヴィオ達を引き止めオットーが自分で焼いたビスケットを渡し、ヴィヴィオはそれを持って聖王教会をあとにしていった。
〜ミッドチルダ・中央市街地〜
ここのある一角でメアリスとコロナ、リオの三人と和人がヴィヴィオ達と待ち合わせをしていた。
「そういえばリオちゃんと格闘技をやるのは初めてだね」
和人がそんなことを話すと、
「はい!でもメアリス達からすごく強いと伺ってます!」
「言うほどじゃないよ」
「そんなことない!うちのパパは強いんです!」
「そうです!負けたところなんて見たことないです!」
和人の弱気な発言に抗議するメアリスとコロナ。それには和人も思わず頭を掻く。
「まあオレも久し振りにメアリス達と格闘技をやるからな。楽しみだよ」
「私もパパと格闘技ができて嬉しいよ」
「メアリス〜」
「パパ〜」
それで二人は抱き合って遠くの世界へ行ってしまった。
(バカ親子……)
(なんかすごい!)
それを見たコロナは素直に呆れていて、初めてそれを見たリオは変に感動していた。
その間にヴィヴィオ達が到着して和人とメアリスを見るとコロナと同じコトを思いつつ、二人をこちらの世界に戻してあげた。
「はじめまして!去年の学期末にヴィヴィオさんとお友達になりました。リオ・ウェズリーです!」
「ああ、ノーヴェ・ナカジマと」
「その妹のウェンディっス!」
そのあと、お互いに初対面だったリオとノーヴェ、ウェンディが挨拶を交わした。
「ウェンディさんはヴィヴィオのお友達で、ノーヴェさんは私達の先生!」
「よ!お師匠様!」
「コロナ!先生じゃないっつーの!」
「先生だよねー」
「教えてもらってるもん」
「勉強させてもらってます」
「先生って伺ってます」
「先生だと娘から聞いていますが」
コロナ達が笑いながら言うと、最後に和人も笑いながらからかう。
「和人さんはからかわないでください!」
ノーヴェは顔を赤くしながら和人にだけ文句を言うと照れ臭そうにそっぽを向くと、皆はそれに笑ってしまった。
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