魔法少女リリカルなのはViVid〜時を越える願い〜
□〜はじめまして〜
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〜夕方・霧島家〜
「それでその人、ヴィヴィオに向かって『趣味と遊び』って言ったの!パパもひどいと思うよね?」
メアリスは晩ごはんを食べながら、今日の出来事を和人に話していた。
「確かにそうは思うけどな……パパはアインハルトに悪気があって言ったようには思えないんだが?」
「……パパは何でアインハルトさんの肩を持つの?」
「いや、そんな子には見えなかったからな」
「パパ、アインハルトさんに会ったことあるんだ」
「会ったというか手合わせしたというか……」
「手合わせ?ああ!じゃあ、昨日言ってた可愛らしい子ってアインハルトさんだったんだ。へぇ〜、パパはアインハルトさんが『可愛い』から味方するんだ?」
そこでメアリスは背後から黒いオーラを噴き出して和人に質問した。そんなメアリスに和人は至って冷静に言葉を返した。というよりメアリスを見ないようにしていた。
「可愛いからとかじゃないけど、やっぱりそんな子には見えなかったからな。それからそのオーラを消しなさい。せっかくの笑顔が台無しだ」
「パパがアインハルトさんの味方をするからだよ?」
「それで?メアリスはその言葉に怒ってどうしたんだ?」
黒いオーラを消さないメアリスにもうどうにでもなれといった感じで話を進めた和人。
「試合を申し込んで私が勝ったらその言葉を取り消してヴィヴィオに謝るようにって」
「なるほどね。友達想いなのは良いことだが、やり過ぎたりはしてないよな?」
それにメアリスは一瞬で黒いオーラを消して和人から目をそらし、
「そ、そんなことしないもん」
(やり過ぎたんだな……)
「それならいいけど、もしも自分がやり過ぎたと思った時は素直に謝ること。それだけはパパと約束だ」
「……わかった。約束する」
それを聞いた和人は笑顔でメアリスの頭を撫でてやり、食事を再開した。
〜同時刻・高町家〜
(あの人からしたら、私はレベル低いのに不真面目で……がっかりさせちゃったんだ……私が弱すぎて。しかもそのせいでメアリスちゃんとアインハルトさんが仲悪くなっちゃった)
一人部屋のベッドで落ち込んでいたヴィヴィオ。そこへなのはが晩ごはんができたことを伝えてきて、ヴィヴィオはリビングへと移動していった。
「ヴィヴィオ、なんか今日は元気ないね?」
「えっ?そそ、そんなことないよ?元気元気!ねークリス!」
どこか元気がないと感じたなのはがヴィヴィオに問い掛けたが、ヴィヴィオは心配かけまいと笑顔を見せる。
「えと……実はね?新しく知り合った人と来週練習試合をするんだ。その事考えててちょっとね」
言いながらヴィヴィオはポジティブに考えるようにしていく。
「じゃあ、しっかり食べて練習して、うんと頑張らないとね」
「うん!」
(あの人の……アインハルトさんが求めてるものはわからないけど、精一杯伝えてみよう。高町ヴィヴィオの本気の気持ちを)
それからヴィヴィオは来週の練習試合に向けてさっそく特訓し始めた。
「クラウス。今まで本当にありがとう。だけど私は行きます」
焼かれる大地に身を置きながら、そこには三人の人物が話をしていた。
「待ってくださいオリヴィエ!勝負はまだ……!」
地面に片膝をつきながらそう言ったのは初代覇王クラウス。そんなクラウスに剣を突き付け話す三人目の人物がいて、その人物はグレイルと瓜二つの人物、リネオス・ヴァルトだった。
「聞き分けが悪いですよ、クラウス陛下」
「リネオス。剣を収めてください」
それを見たオリヴィエはリネオスに下がるよう命じ、リネオスもそれに従う。
「あなたはどうか良き王として国民とともに生きてください。この大地がもう戦で枯れぬよう、青空と綺麗な花をいつでも見られるような、そんな国を……。リネオス。あなたはこれからクラウスに付き従い、剣となり、時には盾となってください」
「陛下の仰せのままに」
「待ってください!まだです!!ゆりかごには僕が……!」
「クラウス陛下。これはオリヴィエ陛下が決めたこと。それを止めようものなら、私があなたを切り伏せる!」
「くっ、リネオスさん!あなたはそれでいいんですか!?はっ!オリヴィエ!!」
クラウスはゆりかごに向かうオリヴィエを止めようとするが、リネオスがそれを阻止し、その間にオリヴィエは二人に手を振って歩いていってしまった。
「リネオスさん!あなたは自分が何をしているかわかっているんですか!」
クラウスは立ち塞がるリネオスに叫んだが、すぐにその答えは返ってきた。リネオスの流す涙によって。
それを見たクラウスは、それ以上リネオスを責める事ができなかった。
そこで目を覚ましたアインハルト。その瞳からは涙があふれていた。
(いつもの夢。一番悲しい覇王の記憶)
アインハルトは体を起こして鏡の前まで来て、自分の悲しそうな表情を見つめていた。
(そして、『剣神』リネオスと良き王となることを誓った大事な日……)
そこでアインハルトは胸に手を当ててその記憶を噛み締めた。
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