魔法少女リリカルなのはViVid〜時を越える願い〜

□〜目覚め〜
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〜聖王教会内・カリムの執務室〜


とある休日にここを訪れていたのは、仕事が休みだった和人とフェイトとなのは。学校が休みだったヴィヴィオとメアリスの五人だった。


「どうやら例の襲撃者の件は治まったようですね。ヴィヴィオやイクスに何事もなくて安心しました」


カリムは五人を席に座らせてそんな話題を振ってきた。


「まあ、本人も元々聖王や冥王に恨みがあっての行動じゃなかったみたいですからね」


「和人君、それならそれで行動してほしかったかも……」


「そうだね。実際ノーヴェが動いてくれたから良かったけど、もしかしたら危ない事態になってたかもしれないし」


「オレだってちゃんと本人に話はしました。それが結果的にノーヴェより遅かっただけだろ」


「そうです!パパはそんなに無責任じゃないです!たまに人をからかいますが」


「メアリスちゃん、フォローになってないよ?」


それでみんな笑ってしまい、和人は少しいじけていた。


「それで今日はグレイルさんとイクスのお見舞いに来られたんですよね?」


カリムはそんな和人を少し可哀相に思いながらも、五人がここを訪れてきた理由を推測した。


「私達はそうですけど、和人とメアリスは違うんだよね?」


「オレはセイン達にちょっかい出しに来て……」


「私はそんなパパの手伝いに!」


和人とメアリスはそう言ってお互いに右手を挙げてハイタッチを交わす。


「フフッ。あまり彼女達をいじめてあげないでくださいね」


「そんないじめるなんて。ちょっとからかうくらいですよ」


「そのからかいが心配なんだよ、和人」


「そんなん気にしてたらコミュニケーションなんてとれないんだよ。そんなわけでまずはセインからからかいに行くか。行くぞ、メアリス」


「おー!」


それで二人は怪しい笑顔を浮かべて席を立って部屋を出ていってしまった。
そんな二人を見て苦笑いを浮かべた一同は、セイン達の安否を心配しつつも話を続ける。


「和人さんとメアリスはとても良い親子関係を築けているようですね」


「たまに呆れるくらいのバカ親子になりますけどね」


カリムの言葉になのはは笑いながら補足し、フェイトとヴィヴィオもそれに同意の頷きを見せた。


「そのような一面はまだ見たことがありませんから、是非とも見てみたいものですね」


「あまり見るべきものでもないかもですよ?」


「そうですね。微笑ましくはありますが、見慣れると反応に困りますから」


そんな会話をしたあと、フェイト達もグレイルとイクスの見舞いのためにカリムの部屋をあとにし、二人の眠る部屋へと移動していった。










〜教会内・中庭〜


「あ〜、今日も平和だな〜」


ここに備え付けられたベンチに座って小休憩をしていたセインは、青空を眺めながらまったりしていた。
そこに近づく怪しい影が一つ。


「セインさん。ごきげんよう」


「ん?ああ、メアリスじゃんか。どうした?」


セインにそんな挨拶をしてきたのはメアリスで、セインは特に警戒することもなくメアリスを招く。


「実はセインさんに頼みごとがありまして」


「なになに?言ってみなよ」


「そのですね、少しの間目を瞑ってもらえませんか?」


「え?何でそんなこと……」


「瞑ってもらえませんか?」


上目遣いで懇願してくるメアリスに負けたセインは大人しく目を瞑ることにした。それを確認したメアリスは怪しく笑って、近くに隠れていた和人を招き寄せた。
和人はさっそくセインの前に立ち、手に油性ペン(故意)を持ってセインの顔にいたずら書きをしていく。それに嫌な予感がしつつも、セインはメアリスの言うとおりに目を瞑り続けていた。


「こんなもんだな。メアリスも好きに書け」


あらかた書き終えて小声でメアリスに言って油性ペンを渡す和人。メアリスもそれを受け取りセインにいたずら書きをしていく。
そして書き終えて油性ペンを和人に返して、和人は物陰に隠れていった。


「目を開けていいですよ、セインさん」


和人が隠れたのを確認したメアリスは、セインに目を開けるように促し、セインもそれに従って目を開けた。


「なぁ、メアリス。私の顔に何してたんだ?」


「いえいえ、少しマッサージをしただけですよ」


「そうか?ならいいんだけどさ」


「はい!それではセインさんもお仕事頑張ってくださいね」


メアリスは言ってセインの下を去っていったが、その裏では必死に笑いを堪えていた。
そんなことも知らずにセインは小休憩を終わらせ仕事に戻ろうと中庭をあとにし、その跡を影から追っていく和人とメアリス。


「おっ!シスターシャッハ」


廊下を歩いていたセインは、正面から歩いてくるシャッハの姿を見つけ声をかけたが、


「なっ!?シスターセイン!なんて顔をしてるんですか!」


「へっ?」


シャッハはセインを見るなり驚いた顔をしてそんなことを言った。セインは訳がわからないといった風で首を傾げる。そんなセインに歩み寄るシャッハ。


「とにかく鏡を見て顔を洗いなさい。そんな顔で教会を歩き回られては私達の人格が疑われます」


そんなセインの顔は油性ペンで書かれたヒゲやらなにやらがあり、額には『肉』の文字が。

自分の顔がどうなっているかわかっていないセインにシャッハは手鏡を渡して、セインは自分の顔を見てみる。


「な、なんじゃこりゃーー!!」


セインの叫びは廊下に響き渡り、それを影で見ていた和人とメアリスは大爆笑していたが、しばらくして次の標的の下へと移動していった。



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