魔法少女リリカルなのはViVid〜時を越える願い〜

□〜異世界旅行〜
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「ゴールッ!」


朝早くの時間帯にそんなことを言ったのはメアリスだった。メアリスは朝のジョギングを欠かさず行なっていて、今しがた家の前に到着したのだが、


「おーい!ヴィヴィオ、グレイルさん、早くー!」


そんなメアリスに急かされたのは、かなり遠くを走るヴィヴィオとグレイルだった。


「基礎体力の……低下が……こんなに……辛いとは……思わなかった……」


「グレイルパパ、大丈夫?」


「ヴィヴィオや……メアリスより……体力が……ないことに……落ち込みそうだ……」


グレイルは息絶え絶えな感じで走りながらヴィヴィオと話をする。

グレイルは四年もの眠りから覚めてから今まで弱っていた筋力を元に戻すためリハビリみたいなことをしていた。
それこそ始めた当初は歩くのも大変だったが、今は日常生活に支障がないくらいに回復していた。
しかし、筋力が戻っても基礎体力までは上げられず、こうして毎日ヴィヴィオとメアリスの朝のジョギングに同行していたのだ。

メアリスに遅れて家の前に到着したグレイルとヴィヴィオだったが、グレイルは到着してすぐに肩で息をして辛そうな顔をしていて、ヴィヴィオはそんなグレイルに心配そうに声をかけていた。

それから少しして、グレイルが落ち着いたのを確認したヴィヴィオとメアリスは、それぞれの家へと戻っていった。


「パパ、ただいま」


メアリスは家へと入るとリビングに顔を出して、朝ごはんを作る和人に挨拶をする。


「おう、おかえり。もうすぐできるからシャワー浴びてこい」


「うん」


そんな会話を交わしたあと、メアリスは浴室へと移動して汗をかいた体を洗っていった。






「ママ、ただいま」


「ただいま……」


同じく家へと戻ったヴィヴィオとグレイルもリビングに顔を出して、調理中のなのはとフェイトに声をかけていた。


「グレイル。無理はしないでね?まだ日常生活レベルにしか回復してないんだから」


「わかってるよ。でもまさかジョギングで息が切れるまでに体力が落ちてるとはな……」


「にゃはは、仕方ないよ。四年も寝たきりだったんだもん。むしろもう走れてることに驚きだよ」


「そうだよパパ!パパはすごいんだよ!」


「そう言ってもらえるとありがたい。さてと、とりあえずシャワー浴びてくるぞ、ヴィヴィオ」


「はーい」


言って二人は浴室へと移動していき、なのはとフェイトはそれを微笑ましく思いながら朝ごはんの準備を再開した。








「じゃあフェイトママ、グレイルパパ、和人さん。行ってきます」


「行ってきまーす!」


「行ってきます」


朝ごはんを食べ終えて学校へ行く準備を整えたメアリスとヴィヴィオ。それと仕事のなのはは、三人に手を振って家を出発していった。


「和人は今日休みなんだよね?」


「まあ、学校がテスト期間中で講義がないからな」


「ならオレのトレーニングに付き合ってくれないか?」


「オレのペースについてこれるならいいが?」


「無茶言うなよ。お前のペースでやったらオレが死ぬ」


「そうだよ和人!グレイルが死んだらどうするの!」


「何で死ぬ前提なんだ……冗談だよ。ただ今日は付き合えないんだ」


「なんだ、予定があったのか」


「まあな。デートってところだ」


それを聞いたフェイトとグレイルはなるほどといった顔をしてそれに頷く。


「なら仕方ないな。それならそれで『オフトレ』の時に頼むよ」


グレイルのその言葉を聞いた和人は「ああ」と一言だけ言って家に戻っていった。それを見送ったグレイルとフェイトも家の中に戻っていった。











「そういえばヴィヴィオ、新しいお友達。アインハルトちゃんだったけ?ママにも紹介してよ」


家を出たなのは達は歩きながら話をしていた。


「んー、お友達っていうか先輩だからねー。もっとお話したいんだけど、なかなか難しくて」


「ヴィヴィオったらアインハルトさんと話すだけで精一杯なんですから」


「そうなの?ヴィヴィオ」


「うえっ!?そんなことないよ〜。メアリスちゃん意地悪〜」


そんな話をしているとなのはと別れる場所に差し掛かり、メアリスとヴィヴィオはなのはに手を振って学校へと向かっていった。







「あ……!アインハルトさん!」


学校に着いたヴィヴィオは、アインハルトの姿を見つけてすぐに話しかけ歩み寄っていった。アインハルトもその声に反応してヴィヴィオに顔を向ける。


「ごきげんよう、アインハルトさん!」


「ごきげんよう」


「ごきげんよう、ヴィヴィオさん、メアリスさん」


三人はそれぞれ挨拶をしたあと、ヴィヴィオが積極的に話を振りながら校舎へと歩いていく。
しかし、話に夢中になりすぎていたヴィヴィオは、中等科校舎付近まで来ていることに気付いていなかった。


「あの、ヴィヴィオ。そろそろ教室に行かない?」


「ヴィヴィオさん達の校舎はあちらですからね」


「あ!そ、そうでしたっ!」


ヴィヴィオは自分が中等科校舎付近に来ていたことに初めて気付き恥ずかしそうにしていた。それをメアリスは苦笑して見ていた。そんなヴィヴィオ達にアインハルトは背中を向け、


「それでは。遅刻をしないように、気をつけてくださいね」


それだけ言って離れていってしまった。それにお礼を言いつつ、二人は初等科校舎へと歩いていき、教室に入るとすでに登校していたコロナとリオに近づいてあいさつし席についた。



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