魔法少女リリカルなのは〜風を纏う者T〜

□〜再会〜
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なのはという少女と出会った夜から数日が過ぎ、和人はいつも通り魔法の訓練をした後、帰路についていた。
あの夜から今日までに三回ほどの魔力の反応を察知した和人だったが、いずれも駆け付けた頃にはすでに何もなく、空振りに終わっていた。


(やっぱり、あの時にあの子の連絡先を聞いておくべきだったか……。まあ、焦ってもしょうがないか……)


そんなことを考えていると、いつの間にか家の前まで来ていた。
しかし、すぐに家の異変に気付く。灯りがついている。一人で暮らしている和人にとって考えられる可能性は一つしかなかった。
さらには家の鍵まで開いている。もうほぼ確定である。意を決して家の中へと踏みいる和人。
そして、恐る恐る居間を覗く。そこには緑色の髪をした初老くらいの男がソファに腰掛けてテレビを観ていた。


「はあ……、じいさん。来るなら前もって連絡してくれって言っただろう?」


溜め息を吐きつつ、男にそう話す和人。その声に反応して男が和人の方を向く。その顔は和人がそのまま年を取ったような顔をしていた。


「なんじゃ、帰ったならただいまの一言でも言わんか。礼儀がなっとらんのぉ」


「礼儀がなってねえのはそっちだろう!人の家に勝手に上がって寛ぎやがって!このクソじじぃ!」


「クソじじぃとはなんじゃ!実の祖父に向かってその口の利き方、一度御灸を据えねばならんかのぉ!!」


そう言って立ち上がって和人に近づく祖父。


「へっ、上等だ!前までのオレだと思ってたら痛い目を見んのはじいさんの方だぜ!」


和人がそう言うと、お互いは真剣な顔で睨み合い、敷地の庭へと移動した。律儀である。


その後、数十分間にわたり、近所には二人の壮絶な喧嘩の音が響いていた。



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