魔法少女リリカルなのはViVid〜時を越える願い〜

□〜ストライク・アーツ〜
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〜中央第4区 公民館 ストライクアーツ練習場〜


「でもやっぱ意外〜!ヴィヴィオもコロナもメアリスも文系のイメージだったんだけどなぁ。初めて会ったのも無限書庫だったし」


ここへ場所を移した一同は、トレーニングウェアに着替えながら話を始める。


「文系だけどこっちも好きなの」


「私は全然初心者レベルだしね」


「私も護身術としてやってるだけだよ」


「ほんとー?」


四人がそこまで話すと、ノーヴェが声をかけて練習場へと足を運んでいった。

そこでさっそくメアリス達は二人一組で組み手を始めていき、ウォーミングアップをしていく。


「へーー!なかなかいっちょまえっスねぇ」


それを見たウェンディが率直な感想を述べると、隣にいたノーヴェが「だろ?」などと言って返す。さらにその横では和人がメアリス達を見ながらストレッチをしていた。


「うっし。じゃあノーヴェ、軽く手合せでもするか?」


ストレッチを終えた和人はノーヴェにそんなことを言うと、ノーヴェもそれに応えてフィールドに移動した。
すると何やら周りがザワザワしだして他の格闘技者が次々に和人達の周りに集まってきた。
何事かと思ったウェンディは、ヴィヴィオ達に近寄って尋ねると、


「ああ、ノーヴェと和人さん、ここではちょっと有名なんです」


「二人ともすごいからね〜」


「パパの方が強いもん!」


三人がウェンディに説明すると、ウェンディも納得して二人の様子を眺めた。


「今日はどうする?ハンデやろうか?」


「じゃあ3:1でお願いします」


「おっ!?大きく出たね〜。前は確か5:1じゃなかったか?」


「今日は負けないですよ」


二人のそんな会話を聞いたウェンディはまたしても疑問が湧きヴィヴィオ達に尋ねる。


「パパは強いからいつも私達と手合せをする時にハンデを与えるんです。今のを説明すると、『先にノーヴェさんが一発入れるか、パパが三発入れるか』で勝負が決まります」


「つまりは和人さんがノーヴェに三発当てる前にノーヴェが一発当てたらいいってことっスね?」


その理解に頷くメアリス。


「因みに私達が相手だとさらに『動かない』とか、『左腕を使わない』とかのハンデがつきますし……」


「攻撃も『あれ』だけになるしね」


「『あれ』ってなんスか?」


その時ウェンディ達の耳にパチーーン!といった音が届き、ウェンディは慌てて和人達を見ると、そこには左手で額を擦るノーヴェと、余裕の笑みを浮かべる和人がいた。


「はい、一発目〜。あと二発」


それを聞いたノーヴェは和人に接近して右のハイキックを放つが、和人はしゃがんでそれを躱すとすぐに立ち上がりノーヴェの額に右腕を伸ばすと、パチーーン!と一発痛そうなデコピンを放った。それで後退したノーヴェはまた額に手を当てて擦る。


「あと一発〜」


それを見たウェンディは先程ヴィヴィオ達が言っていた『あれ』の正体がわかった。


「デコピンっスか……」


「ウェンディさん!馬鹿にしないでください!あれかなり痛いんですから!」


ヴィヴィオは呆れているウェンディに必死の抗議をして、メアリスとコロナもそれに同意する。

そんなこんなで三発目をもらったノーヴェは悔しそうにウェンディ達のもとへ戻ってきた。そしてその額は真っ赤になっていた。それをウェンディはつついて遊ぶとノーヴェに本気で怒られていた。


「パパ!久し振りに『あれ』が見たい!」


メアリスはノーヴェとの手合せを終えた和人に近寄るとそんなことを言う。


「ん〜、どうだろうな。他の人達が乗ってこないと難しいんじゃないか?」


和人はそう言った後練習場一帯に響く声で呼び込みをかけてみる。


「え〜、練習場にいる皆様。今から私と手合せをしたいという方がいましたらぜひ集まってください。もしも私に勝てた場合、ここにいる皆様全員にジュースをおごります!」


その言葉を聞いた格闘技者達はワラワラと集まりだした。


「ん〜と、ざっと五十人くらいか……これが限界だわ、メアリス」


「ん〜、本当は『百人抜き』を見たかったけど、いいよ!」


それを聞いた和人はさっそく一人ずつ相手をしていった。


「あっ!和人さんが百人抜き始めたよ!」


「見よ見よ!」


ヴィヴィオとコロナはそれを見て興奮していたが、リオは何事かと首を傾げる。


「あれは和人さんのパフォーマンスだよ。たまに百人抜きとか言ってあーして他の格闘技者と手合せをしてんだ」


「それで負けないんですか?」


「リオも見ただろ?和人さんはそこらの格闘技者じゃ相手にならないんだよ。あたしの姉貴でもまだ勝てないって言ってたし」


「へぇ〜」


それにリオは感心していたが、その間にも和人に挑んでいった格闘技者達が倒されていっていた。


数十分後、全員を倒し終えた和人が満足そうにしていると、メアリスが駆け寄っていき抱き付き、和人はそのままメアリスと回りだし二人の世界に入ってしまった。


「パパすっごくかっこよかったよ!」


「ははは!メアリスに言われるとパパも嬉しいぞー」


((((バカ親子……))))


(やっぱりすごい!)


それを見たヴィヴィオ達はいつもの反応をするが、リオだけはまだ感動していた。

そのあと二人をもとの世界に戻して仕切りなおしたメアリス達は、相手を替えながら組み手を再開していた。


「でもヴィヴィオもメアリスも勉強に運動もできてすごいよねぇー」


「ぜーんぜん。まだなんにもできないよ」


「まだ明確な将来もないし、何がしたいのかもわからないし」


ヴィヴィオとメアリスは組み手をしながらリオの話に言葉を返すと、


「だから今はいろいろやってみてるの」


「そっか」


「リオとコロナとヴィヴィオといろんな事を一緒にできたらなって思う」


メアリスのその言葉に三人も笑顔で賛成する。



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